ちょうどその頃、若い監督も撮影のローテーションに入ってきて、僕の意見も聞いてくれるようになったんです。それまでは年輩の監督やカメラマンばかりでしたから、軍隊のように言うことに従うしかなかった。それが『どう思う?』と聞いてくれるようになったので、コミカルな芝居を提案したりしました。
すると、若いスタッフが笑ってくれる。そのおかげで自分で考えていろいろやってみようという想いが芽生えていきました。
僕のベースは『仮面ライダー』。これを一年やったことで撮影のノウハウを覚えたわけですから」
【プロフィール】
春日太一(かすが・たいち)/1977年、東京都生まれ。主な著書に『天才 勝新太郎』『鬼才 五社英雄の生涯』(ともに文藝春秋)、『なぜ時代劇は滅びるのか』(新潮社)など。本連載をまとめた『すべての道は役者に通ず』(小学館)が発売中。
撮影/藤岡雅樹
※週刊ポスト2021年6月4日号