今、世代を問わず読まれている絵本がある。『会いたくて会いたくて』だ。この絵本は、室井滋さんが1回目の緊急事態宣言下で文章を書き、長谷川義史さんが絵を描いたもの。今年1月末に発売されて現在5刷。大切な人へのプレゼントにもオススメの一冊としても読まれている。
《会えない分、思いは強くなるよ》──施設で暮らすおばあちゃんが、ママに内緒で訪ねて来た孫のケイちゃんに、糸電話を通して語りかける言葉は、新型コロナが猛威を振るう中、切実な願いとともにたくさんの人々に届いている。ここでは、絵本に寄せられた読者の声を紹介しよう。
◎コロナのため、県外にいる私の祖母(子供たちのひいおばあちゃん)と会えない日々が続いて約1年。本当は、会いたくて会いたくて仕方ありません。けれども、大好きだから、大切な大切なおばあちゃんが元気でいてほしいから、今は会わないと心にグッと決めていました。そんな時にこの絵本……。38才の大人が書店の絵本コーナーで号泣してしまいました。帰宅し、子供たちに読んでいる時にまたまた号泣。(38才・女性)
◎コロナ禍で、私の母がホームに入所していましたが、ずっと会えず、認知症でどんどん表情に光が失われていくのが悲しかった。結局、年末に一度だけ孫が会いに来てくれたのを大喜びした母でした。その後2か月あまり、最後まで私たちに会えず亡くなりました。そんな母を思いながらこの本を読み、とても慰められました。(61才・女性)
◎私は介護施設で清掃員として働いていますが、入所しているかたの声の一番は「孫に会いたい」という言葉で、毎日聞かされます。コロナ禍でこの絵本を読んでいると、胸に迫るものがあります。糸電話でお話しできたらいいなあと思いました。(71才・女性)
◎昨年12月、義母との別れがありました。週末にスマホ面会、東京の娘や孫たちにも会わせたいと、なんとかスマホの画面を通して……お互いにつらい思いを感じながらの日々でした。実家の母も今は施設におり、コロナ禍で会えません。この本を涙して読みました。読書好きの孫に早速贈りました。(71才・女性)
◎残念ながら私の「会いたくて会いたくて」な人は空の上。どれだけ願っても本当に会うことはできないけれど、もしも空からスルスルスルって糸電話が降りて来たら、何をお話ししよう……? 「忘れないようにしたいから声をいっぱい聞かせて」ってお願いしようかな。顔や言葉はちゃんと覚えているのに、声は自分の中で上手に再生できない。この本全部が優しくて温かくて、久しぶりに大好きな優しい父に会えたみたい。ステキな本に出会えました。何度も読み返しています。(45才・女性)
※女性セブン2021年6月17日号