ではどのような部分が共通しているのだろうか。寺脇氏はこう続ける。
「勝さんもキャラクターに成り切る力とプロデュース能力に長けた人物なんですよね。『座頭市』シリーズや『悪名』シリーズでのキャラクターが有名ですけど、一方では30代後半の頃に勝プロダクションを設立して、テレビドラマや映画を製作したり自分で監督を務めたりするようになっていく。
勝プロダクションの最初の成果が1968年の映画『燃えつきた地図』で、原作が安部公房、監督が勅使河原宏、音楽が武満徹と、芸術色の強い作品でした。勝新太郎のヒット作といえば『座頭市』シリーズですが、表現者としての彼の成果はむしろ30代後半以降に生まれてくるんです。
『燃えつきた地図』が公開された時の勝さんは36歳。実は今の山田孝之さんとほぼ同い年の時のことなんです。そう考えると山田さんがこれからどんな風に化けていくのか、とても興味があります」(寺脇氏)
勝新太郎と言えば、俳優の松平健を弟子に取り、時代劇のスターへと育て上げたことでも知られている。いずれは“山田孝之の弟子”が活躍する日も来るのだろうか——。
◆取材・文/細田成嗣(HEW)