東京都にもこんなにある(地盤カルテによる土砂災害リスク)
アメリカ大使館も高リスク
東京では、品川駅付近で高級ホテルや緑豊かな公園などがある閑静な港区高輪3丁目や、オフィスビルや病院、付近には2014年に開業した虎ノ門ヒルズやアメリカ大使館も隣接する同区虎ノ門2丁目も地盤カルテでは土砂災害リスク3となっている。港区は起伏が多く、前述の「谷埋め型」の大規模造成地が点在する地でもある。
神田川沿いに中高・大学が並ぶ文京区本郷1丁目や、桜の季節には目黒川沿いに多くの人が押し寄せる人気タウンの目黒区中目黒1丁目も土砂災害リスクは3。
高級住宅街として知られる大田区田園調布5丁目は土砂災害リスクが最大値の5。田園調布は戦前の1923年に分譲が開始された住宅地だが、駅を中心に同心円状の道路を配置する際、盛り土が行なわれた歴史を持つ。
ほかにも町田市金井が丘2丁目、稲城市大丸も5という診断結果が出ている。
大阪府を見てみると、大阪市は「市内には大規模盛土造成地が存在しない」と公表している。地盤カルテで土砂災害リスクが指摘されているのは、吹田市の関西大学に隣接する円山町、千里山西4丁目、佐井寺2丁目といった住宅地や、高槻市、堺市、羽曳野市、貝塚市、阪南市にあった。伊東氏が語る。
「自然災害は複合的要因が重なり合って起きるものですが、高低差があって盛り土をしたところのほうがリスクが高いとはいえます。盛り土をした土地は擁壁(崖などの崩壊を防ぐための壁)で守られてはいますが、年数とともに徐々に劣化していく。だからこそ、リスクを把握しておく必要はあります」