応募者が信じているらしい、その残高のスクショは本物の通帳を撮影したものなのだろうか? 筆者がSNS上の類似投稿の写真を、フリーソフトなどを使って確認したところ、どれも「合成」である可能性が高いことも分かった。お金を配った実績を示す「証拠」のはずのスクショは、撮影の小道具としての札束と同様に「作られたもの」であるのだ。
「金を配る、という嘘に騙されてくるのは馬鹿な貧乏人。金はないけどいろんなことに使えるんです。男なら詐欺のメンバーとして、女なら風俗に売り飛ばす、そうやって人間を金に換えていく。闇仕事の営業にも使えるでしょう。その入り口が『お金配り』なんです」(K氏)
こうした騙しの手口には「実際に当選した」というサクラの書き込みをするアカウントがよく利用されることも、付け加えておきたい。ありえないような美味しい話が存在するということを知らしめるための「演出」に過ぎず、カモを多く獲得するための手法であることは明白だ。だが、危険なのは「お金配り」アカウントの誘いだけではない。たとえば、いわゆる「パパ活」で儲かるといって人集めをしているSNSアカウントについても同様のことがいえる。
見ず知らずの人が、得をする、おいしい話を自分だけに持ちかけるわけがない、という基本的なことを忘れている人があまりにも多すぎるのである。貧すれば鈍する、ではないが、コロナ化で経済的にひっ迫した人が増え、お金配りやパパ活募集などの投稿に安易に飛びついている、ということなのか。騙される被害者が減る傾向を、現時点では全く見いだせない。