三池崇史監督がメガホンを取り、公開から1週間で話題を集める映画『妖怪大戦争 ガーディアンズ』。コラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが注目するのは、55年ぶりにスクリーンに復活した「大魔神」だ。ペリーさんが伝説の「大魔神」について解説する。
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8月13日に公開された『妖怪大戦争 ガーディアンズ』(監督・三池崇史)。同じ三池監督が演出した2005年の『妖怪大戦争』のぬらりひょん(忌野清志郎)や「戦争はいかんです。腹が減るだけです」と言い切った妖怪大翁(水木しげる先生)、主人公の祖父さん(菅原文太)など今は亡きユニークな顔ぶれも含めて、懐かしく思い出している人も多いと思う。
昭和のころから、毎年夏は、お化けや妖怪の映画・ドラマが私たちをドキドキわくわくさせてきた。令和になってからも、NHK BSプレミアムで上白石萌音の『令和元年版 怪談牡丹燈籠』や岡田健史の『大江戸もののけ物語』が話題に。化けたり、友だちになったり、戦ったり、付き合い方もいろいろだ。
新作『妖怪大戦争 ガーディアンズ』で、一番驚いたのは、あの「大魔神」が復活したことだ。物語は、フォッサマグナに眠る古代の化石たちが一つに集結し、巨大な妖怪獣に変化。東京に襲来するというもの。このままでは人間も妖怪たちも大変なことになると、妖怪たちが頼ろうとしたのが、伝説の妖怪ハンター・渡辺綱の血を受け継ぐ気弱少年・渡辺ケイ。ケイの力を借りて、伝説の武人「大魔神」を蘇らせようとするが…
いやいやいや、「大魔神」と聞いて」(オリジナルは1966年公開)、長年の時代劇ファンとしては黙ってはいられない。思えば、40年以上前、映りの悪いテレビでこの映画を観てびっくり仰天し、(今思えば、これもテレビの夏休み企画だった)、「みんな、ゴジラだモスラだと言ってるが、私は大魔神派でいく!!」と決心したものの、クラスには誰も賛同者がおらず、ひとりぼっちだった私。実に55年ぶりの復活という大魔神に拍手を贈らずにはいられない。
とはいえ、これだけ久しぶりの登場では、大魔神様についての基礎知識も薄れかかっているのではあるまいか。なので、少しだけ大魔神映画について、ご紹介したいと思う。
映画『大魔神』の第一弾の舞台は戦国時代、その昔、武人によって崖に封じられた魔人伝説のある村で、大舘左馬之助(五味龍太郎)による反乱が起きる。殺された城主の嫡男・忠文(青山良彦)と妹の小笹(高田美和)らは、忠臣・猿丸小源太(藤巻潤)とともに山に逃げた。だが、左馬之助の悪家臣により、忠文と小源太が捕まり、磔の危機に。小笹は、崖の魔人のところに行き、「この身をお捧げしたら…」と泣きながら訴えると、地響きがして大魔神が動き出す!