取材対象者との距離感が絶妙
一方、そのインタビュースキルや取材方法が勉強になると語るのは、フィールドワークを専門とする社会学の研究者女性・Bさん(30代)だ。
「私は研究調査の一環としてフィールドワークを行なっています。フィールドワークの難しさは対象とする人や集団との適切な距離の取り方です。親しくなりすぎてもいけないし、距離を取りすぎてもいけない。その絶妙な距離感を掴むことが、良いフィールドワーカーだと考えます。
そうした視点で、丸山さんのYouTubeを見ると、対象者との距離の取り方が絶妙だと感じます。過剰に裏社会のルールを肯定するわけでもなく、また一方的な見方を押し付けて否定するわけでもなく、適切な距離感を保ちながら相手に接していることが伝わります。またひとつひとつの言葉をかなり選んでお話しされているところが印象的で、フィールドワーカーとしても大変勉強になります」(Bさん)
こうした取材方法には、丸山氏のバックグラウンドも関係しているのではないか、とBさんは続ける。
「丸山ゴンザレスさんは、もともと考古学の研究をされていた方なんです。プロフィールを見ると、國學院大学文学部を卒業後、考古学専攻で同大学院を修了している。NHKの『アナザーストーリーズ 運命の分岐点』が2020年9月に放送した『偽りの“神の手” 旧石器発掘ねつ造事件』の回では、“神の手事件”を目の当たりにした過去について、考古学研究を行なっていた立場からコメントも寄せていました。
裏社会の人々を一般社会と切り離された〈他者〉として描くのではなく、同じ社会の一側面であると捉える視点は、アカデミックなバックグラウンドとも関係しているのでは、と拝察します。また丸山さんの取材は、視聴者が知らぬ間に裏社会に引き込まれていかないよう、啓発の役割も果たしていると思います」(Bさん)
他の裏社会を紹介するチャンネルとは一線を画す、丸山ゴンザレス氏のYouTubeチャンネルは、視聴者からの信頼も厚いようだ。