『ルビーの指環』(1981年)、寺尾聰。「男の哀愁にしびれ、カバーアルバムを作るならと最初から収録を決めていました」(横山)。
時代の空気感も含めて昭和の歌が好きだと語る。
「実験的な試みをする余裕があった時代というか。聴いている方にしてみたら、えー、意外だなぁみたいなことがいっぱいあった気がします。でも昭和歌謡は、その手探りな感じがいいんですよね。
たとえば、森進一さんの『冬のリヴィエラ』を初めて聴いたときも、いわゆる演歌ではないのが想定外すぎて。“こう来るか!”みたいなね。それにしても、“この声でこの歌はずるい”と思ったのを覚えています。
寺尾聰さんの『ルビーの指環』や五木ひろしさんの『よこはま・たそがれ』も、昭和ならではの名作だと思います。西洋の音楽や文学を知り尽くした人たちが、日本人の心にフィットするように仕立てている。緻密に計算された建築みたいに、きっちりと作られているという点が、本当に大好きです」
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好評発売中のカバーアルバム『好きなんだよ』。初回限定版CD+Blu-ray8580円。『プラスティック・ラブ』『DOWN TOWN』『スカイレストラン』『やさしさに包まれたなら』『接吻-kiss-』『時間よ止まれ』『最後の雨』『雨に泣いている』『横須賀ストーリー』『空港』『難破船』など、CKBテイストの全21曲が収録されている。
【プロフィール】
横山剣(よこやまけん)/1960年、神奈川県生まれ。1981年にクールスRCのボーカリストに。1997年、クレイジーケンバンドを結成し、翌年デビュー。作曲家としても多くのアーティストに楽曲を提供。2021年9月8日、初のカバーアルバム『好きなんだよ』が発売に。
取材・文/丸山あかね 撮影/森浩司
※女性セブン2021年9月30日・10月7日号