「イラッときたとき、ムカッときたとき、その感情をすぐアウトプットしてしまうと、ただ相手を叩きのめすための言葉を吐いてしまいかねません。怒りが生じても6秒経てば理性が働くと言われています。その間を意識してやり過ごせば、激しい怒りの感情も少し落ち着き、理性的な対応ができるはずです」
河野氏は、仕事を進める上で役人に対して「おかしいものはおかしいと指摘しなきゃいけない」とも語っている。“パワハラ”と言われないためには、どんなことに注意しながら相手に意見を伝える必要があるのだろうか?
「アンガーマネジメントとは、言うべきことを飲み込んでしまうのとイコールではありません。怒りで後悔しないためにあるのが、アンガーマネジメントです。『あんな怒り方をしなきゃよかった』だけではなく、『あのとき怒っておけばよかった』というのもまた“怒りで後悔すること”ですよね。だから、適切な怒り方を学んで、言うべきことはぜひ言いましょう。
人格否定的な言葉を使うと、コミュニケーションの道筋が『これについて理解してもらいたい』という本来の方向ではなく、『相手を叩きのめす』という方向に逸れてしまいます。『こういうときは、こういう行動をとって“ほしい”』、『こう改善して“ほしい”』というリクエストの体裁を取るのであれば、発言の趣旨は同じだとしても、より適切な伝え方と言えます」(戸田氏)
パワハラに対する国民の拒否感は年々高まっている。河野太郎新総裁誕生の鍵を握るのは、アンガーマネジメントかもしれない。
◆取材・文/原田イチボ(HEW)