航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏の接種証明書
どこで使うの?
海外では日常生活のさまざまな場面でワクチンパスポートが活用されている。鳥海氏が語る。
「ニューヨークでは室内での飲食やイベント、映画館などでワクチンパスポートが必要になります。世界各国で、店内飲食の際に必要となるケースが多いですね」
欧州は国によってまちまちだが、特に使用場面が多いのがフランスだ。欧州を拠点に活動するジャーナリスト・宮下洋一氏が語る。
「フランスでは飲食店はもちろん、スーパーやデパート、病院などほとんどの公共施設で必要になります。長距離移動のバスや高速鉄道に乗る際も提示が必要です」
ワクチンパスポートの利用を見越した民間主導のサービスは、国内でもすでに始まっている。東京・新宿区のかどやホテルでは接種1回で宿泊料金から1000円引き、2回で2000円引きというサービスを開始し、居酒屋のワタミグループではワンドリンクを無料に、カラオケ館では室料が10%引きになる。いずれも接種済証を提示するとサービスを受けられる。
前出の群馬県でも、県独自のワクチンパスポートを提示すると、県内での宿泊や日帰りツアーの利用料に、最大5000円の補助を受けられるようになる。
身分証の代わりになるの?
前述の通り、年内をめどに開始するスマホ版のワクチンパスポートは、取得時にマイナンバーカードが必要になる。マイナンバーカードと紐付けされるのなら身分証明書として使えそうだが、実はそうはならない。
「あくまで個人の接種を確認する際に使うだけで、身分証の代わりになることは想定していない」(内閣官房)
海外でも公的機関などでの各種申請では、ワクチンパスポートに加えて別途身分証明書が必要になるという。
(第2回に続く)
※週刊ポスト2021年10月8日号