臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の心理状態を分析する。今回は、2019年参院選広島選挙区での買収事件ついて行った自民党の会見について。
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「買収に使われていない」と発表されても、“はい、そうですか”と素直に納得できるものじゃない。9月22日、自民党の柴山昌彦幹事長代理が突然開いた記者会見の映像を見て、そう思った。
柴山幹事長代理が会見した理由は、2019年に起きた参院選広島選挙区の大規模買収事件について説明するため。党本部が元法相の河井克行被告と妻の案里元参院議員の陣営に支給した活動費1億5000万円について、河井夫婦連名の書面を公表し、このお金が河井被告らの買収の原資ではなかったと説明した。1億5000万円のうち1億2000万円は税金から出ている政党交付金。破格の投入額は、当時同じ選挙区から出馬して落選した自民党議員の10倍だったことが判明。当然、これが買収の原資になったのではと疑問視されたのだ。
菅首相は昨年9月、実態を解明すると述べたものの、その後、詳しい説明はなし。なぜ1億5000万円もの金が投入されたのか、何にいくら使われたのかは分からないままだ。二階俊博幹事長が5月、党総裁および幹事長が決定の責任者と述べていたが、自民党からそれ以上の答えはなかった。
河井被告らの裁判が進むにつれ、彼らがどれくらいの人にいくら金を撒いたのかは明らかになった。2人には有罪判決が言い渡されたが、克行被告は東京地裁の公判で、1億5000万円のうち「1円たりとも買収資金に使っていない」と主張。だがこれまで、河井氏側は“使途不明”と説明してきた。