新型コロナウイルスに感染して休業しなければならない場合はさまざまな補助金、給付金が得られる制度がある。
まず、労働者側には、勤務先から休業手当の全部や一部を受け取っていない人が自ら申請して直接お金を受け取れる「新型コロナ対応休業支援金」という制度がある。金額は、休業前の1日あたり平均賃金の80%で、休業した日数分、受け取ることができる。
さらには、小学校の休校措置が取られた場合、小学生がいる家庭に対して助成金が支払われる「小学校休業等対応助成金・支援金」の制度もある。休校・休園等で子どもが自宅にいることになり、どうしても仕事を休まなければならない人への支援策だ(今年度分の詳細は今後公表予定)。
事業者側に対しては、コロナ禍以前からある「雇用調整助成金」制度が拡充されている。事業者が、労働者を解雇せずに一時的に休ませるなどしたときに休業手当や賃金等の一部を助成するものだ。
連合で労働者の相談を取りまとめている久保啓子氏(フェアワーク推進センター局長)によると、「これらの支援金、助成金の他にも各自治体が独自に打ち出しているものなどさまざまあるので、自分がどれに該当するか、調べてみてほしい。また、(事業者による出勤停止の指示などが)明確な法律違反である場合は、指導権限のある行政の窓口を紹介しますし、人権侵害にはしかるべき相談窓口があります。まず連合に相談していただければ」とのこと。
感染者やその家族に対して「責任感がない」とか、「気が緩んでいるからだ」などと断じるのはあまりにも浅慮だ。気が緩んだために感染対策を怠り、感染することはあるとしても、感染した人の全員が、気が緩んでいたわけではない。どんなに気を引き締めていても感染することはある。だからこそ、この新型コロナウイルスがこれだけ感染拡大したのだ。
新型コロナウイルスに限らず、病気の多くは本人の責任の及ばない出来事である。不幸にも罹患した場合は、労働者に保障された権利を知って、各種制度を活用してほしい。
◆取材・文/岸川貴文(フリーライター)