自民党5大派閥の中で細田派が最も多くの議席を減らしそうだ。そうなると、自民党が政権を維持しても、安倍氏の発言力は急速に低下する。
細田派に次ぐ第2派閥の麻生派も苦しい。派閥所属の衆院43人のうち劣勢10人、接戦2人で最大「12人減」、総裁派閥の岸田派(衆院34人)は最大「11人減」(劣勢8人、接戦3人)という情勢だ。
総裁選後に求心力を保てなくなった二階派は壊滅の危機にある。
最高顧問の伊吹文明・元衆院議長が引退、会長代行の河村建夫・元官房長官は林芳正・元農相の出馬で大苦戦に陥るなど、選挙区で劣勢10人、接戦6人。4人の比例単独議員も今回は当選が危うい。二階派の衆院議員37人は半数に減る可能性さえある。
「総選挙後に自民党の派閥勢力は激変するでしょう。その結果、細田派と麻生派の数の力で政権をコントロールしてきた安倍氏、麻生氏、甘利氏の3Aは数の優位を保てなくなり、岸田政権の基盤そのものが不安定になると予想される」(野上氏)
総選挙後の自民党内に大きな波乱の予感がある。
【表の見方】
小選挙区は別掲表のシミュレーションをもとに集計。印で差がつかなかった選挙区は議席を分割配分した。比例区は各ブロックの情勢分析から試算。現有議席に欠員4。衆院議長、副議長は自民、立憲の現有議席にカウント。
289選挙区の当落予測は10月12日時点の情勢をもとに作成。原則として、公職選挙法に基づく政党要件を満たす政党が公表する各選挙区の支部長、公認予定・内定者、また無所属での立候補の可能性がある者を掲載した。現段階で党の支部長が決まっていないが、候補を立てれば当選の可能性がある場合、(未定)として枠を設けた。
「現」は前回衆院選で同じ小選挙区で当選した議員、は比例当選の現職議員。本誌取材により、当選可能性が極めて低いとされる公認予定・内定者、無所属、諸派は掲載を見合わせた。
予想は当選する可能性が高い順に○→△→▲→無印で記した。/表中敬称略。
政党名は、自=自由民主党、公明=公明党、立憲=立憲民主党、共産=日本共産党、維新=日本維新の会、国民=国民民主党、社民=社会民主党。自民党現職議員の派閥は細=細田派、麻=麻生派、竹=竹下派、二=二階派、岸=岸田派、石=石原派、破=石破派、無=無派閥。
※週刊ポスト2021年10月29日号