ドラマや映画が好評の鈴木亮平(写真は2021年8月)
もうひとつ、外見でのこだわりは、「黒」。この新選組は、黒一色の隊服を着用。史実によれば、よく知られる浅葱色のダンダラ模様はほとんど着用していなかったという。土方、近藤、沖田、斎藤一(松下洸平)、永倉新八(谷田歩)ら九人の黒隊服幹部が横並びで揃うと、無敵野球チームみたいである。威圧感がすごい。
こだわりその3は、キャラクター。隊の中には芹沢のほかにも“嫌われキャラ”がいる。新選組総長・山南啓助(安井順平)は、眼鏡をかけて、端から相手をちょっと見下すような目線で話す。おかげで教養人が嫌いな土方からは憎まれ、やがて山南は脱走する。
また、山崎烝(村本大輔)は、不逞浪士の動きを探ると同時に、新選組隊士の監視もする「監察」。彼のチクリによって隊士仲間が処罰されることもある、嫌われ男だ。町人姿になり、探索する店の女中に見せる愛想笑いと冷徹な監察の顔。村本大輔は、ぶつぶつと独り言を言いながら人を寄せ付けない不気味なキャラクターに。なかなかの存在感だ。
映画のキャッチフレーズは「時代を追うな。夢を追え。」。それは映画製作そのものにも当てはまる気がする。こだわり抜いて夢を追え。これはそういう映画だ。