国内

与党「18歳以下に10万円相当給付」へ なぜ公明の主張は通るのか

公明党の主張はなぜ通りやすい(山口那津男・代表。時事通信フォト)

公明党の主張はなぜ通りやすい(山口那津男・代表。時事通信フォト)

 11月9日、自民党の茂木敏充・幹事長と公明党の石井啓一・幹事長が国会内で会談。今月19日にも閣議決定する新型コロナを受けての経済対策に盛り込む内容として、18歳以下を対象として「10万円相当の給付」を行なう方向で大筋合意した。10万円のうち5万円は現金で、残りは5万円相当の使途を限定したクーポンとなる見込みとなった。公明党が衆院選の公約に掲げた「未来応援給付」が実現に向かおうとしているが、この給付には批判の声も大きく、さらなる波紋を広げそうだ。

 今回の「10万円相当の給付」に否定的な声が少なくないのは、年齢によって給付を受けられるかが決まるからだ。全国紙政治部記者が言う。

「自民党の茂木幹事長は所得制限を設ける方向の提案をして、公明党側が持ち帰ることとなった。18歳以下全員が給付対象となれば、約2000万人に対して約2兆円相当の給付となる。どういったかたちで決着するのか、引き続き注目が集まります」

 公明党主導で“バラマキ”と批判されるような政策が実現するのは初めてのことではない。1999年には、15歳以下の子供がいる世帯主などを対象に、2万円の「地域振興券」が配布された。政治ジャーナリストが説明する。

「当時は自公連立政権の成立する直前だったが、自民党が前年の参院選で惨敗を喫し、過半数割れに追い込まれて橋本(龍太郎)内閣が総辞職した。続いて発足した小渕(恵三)内閣のもとで、政権運営をスムーズにするために公明党との連携が探られた。そうしたなかで、自民党が公明党の主張を受け入れて実現したのが、『地域振興券』だった」

 景気刺激策としての効果には疑問符がついたが、結果として同年秋には自公の連立政権が成立している。

「その後、2009年に麻生(太郎)内閣のもとで実施された国民一人あたり1万2000円の定額給付金(18歳以下の子供と65歳以上の高齢者には8000円を加算)についても、公明党から強い要望があったとされる。2019年10月に消費税が10%に引き上げられた際、飲食料品などについては8%に据え置く軽減税率が導入されましたが、これについても“庶民層”を強く意識する公明党が主張したものだった」(同前)

 消費税増税の時の経緯については、公明党のHPでも、〈軽減税率は、政党として唯一訴え、粘り強く交渉してきた公明党の闘いによって実現しました〉と説明されている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

令和6年度 各種団体の主な要望と回答【要約版】
【自民党・内部報告書入手】業界に補助金バラ撒き、税制優遇のオンパレード 「国民から召し上げたカネを業界に配っている」と荻原博子氏
週刊ポスト
なかやまきんに君が参加した“謎の妖怪セミナー”とは…
なかやまきんに君が通う“謎の妖怪セミナー”の仰天内容〈悪いことは妖怪のせい〉〈サントリー製品はすべて妖怪〉出演したサントリーのウェブCMは大丈夫か
週刊ポスト
常に全力笑顔の林家つる子
《抜擢で真打ち昇進》林家つる子、コロナ禍でYouTubeに挑戦し「揺るがない何かができた」 サービス精神旺盛な初代・林家三平一門の系譜
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン