中高生や若者をとりこにした各種のポケベル
単純なリバイバルから脱し、徐々に価値が認められて定番アイテムとなっていくこともあるわけだ。
平成文化研究家で、「平成レトロ」という言葉を最初に提唱したという山下メロ氏は、「もともと、平成の世で流行したものは、文化として軽く見られがちでした」と振り返る。
「昭和レトロというと、かつては『三丁目の夕日』のような戦後の高度成長期にみられる重厚長大な印象の文化のことを指していました。それに比べて、大量生産・大量消費の1980年代~1990年代については“軽薄である”という空気があります。最近になってやっと1980年代も昭和レトロとして認められるようになってきましたが、まだまだ平成文化の価値は認められていない印象です。
その原因のひとつに、インターネットの普及があります。みんながテレビを見ていた昭和の時代は誰もが流行したものを知っていました。しかし、インターネットが普及した平成には、流行が世代や趣味ごとに細分化していったのです。ゆえに“平成グッズ”と言われて、誰もが納得できる象徴的なものが見つかりにくい。また、まだ平成は一昨年のことで、懐かしがる時代ではないという印象も強いのでしょう。そうしたこともあって、平成の文化が注目されないままでした。ですが、最近のブーム到来で、そうした価値観も変わっていくに違いありません」
30年間のうちにいろいろな流行グッズ、ヒット作品が生まれた平成時代だが、これから何がどのように再評価されていくのだろうか。