芸能

高田文夫氏の胸がしめつけられた 「17歳の立川談志の日記」

「小よし」時代の立川談志

「小よし」時代の立川談志

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。日記ブームが来ているという高田氏が、17歳の立川談志による日記についてつづる。

 * * *
『藝人春秋Diary』(水道橋博士)の推薦の帯文を書いてからというもの私の中では日記ブームが来ている。先週この連載で和田誠の手書きの日記本(17歳から19歳)『だいありぃ』が素晴しいと書いた。そこへ慌てたように届いた本には“談志 17歳”の文字が。衝撃である。「17歳」と言って通るのは南沙織か森高千里である。

 和田誠に17歳の時があったように談志にも17歳の時があったのか。小さんに16歳で入門して前座2年目の修業時代である。本名が松岡克由だから師匠から「小よし」と付けられた。18歳で二ツ目となり「小ゑん」。この頃からテレビにも出始め、私は『歌まね読本』の小ゑんちゃんをよく覚えている。私が知っているのは小ゑんからだ。27歳で真打昇進「立川談志」を名乗る。それを見ていた15歳の私も嬉しかった。

 この本は私が知らない時代、小よしの談志だ。あまりにもピュアすぎて、ギュッと抱きしめてあげたくなる。なにやら同級生の松岡クンの青き人生に伴走しているようだ。談志の長男・慎太郎のあとがきによると、この17歳の時から最晩年まで、キッチリ毎日のように日記はつけていたというから驚きだ。入退院を繰り返していた2010年頃「これはいずれ本になるだろうから」と70冊あまりの日記帳を編集者に託したと言う。なんでオレに託さなかったのだろう。

『談志の日記 1953 17歳の青春』(dZERO)。自分が好きな人の日記をのぞくというのは本当にドキドキする。30代40代、私と会った時の日記も見てみたいものだ。17歳の日記は格別に胸しめつけられる。

「人形町で一〇〇円小さんに小遣をもらう。しかしその場でなくす。(中略)その場で探すのも失礼だからよした」。クゥ~ッ泣けてくるネ。この気のまわし方が切ない。私なぞ17歳の時、みゆき族だエレキだと遊びまわっていた。

「僕には夢を追うのみで、若さを楽しむ資格がないのであろうか。悲しい。その原因は落語なのだ。僕の宿命なのかも知れない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

エンゼルス時代、チームメートとのコミュニケーションのためポーカーに参加していたことも(写真/AFP=時事)
《水原一平容疑者「違法賭博の入り口」だったのか》大谷翔平も参加していたエンゼルス“ベンチ裏ポーカー”の実態 「大谷はビギナーズラックで勝っていた」
週刊ポスト
グラビアから女優までこなすマルチタレントとして一世を風靡した安田美沙子(本人インスタグラム)
《過去に独立トラブルの安田美沙子》前事務所ホームページから「訴訟が係属中」メッセージが3年ぶりに削除されていた【双方を直撃】
NEWSポストセブン
中条きよし氏、トラブルの真相は?(時事通信フォト)
【スクープ全文公開】中条きよし参院議員が“闇金顔負け”の年利60%の高利貸し、出資法違反の重大疑惑 直撃には「貸しましたよ。もちろん」
週刊ポスト
阿部詩は過度に着飾らず、“自分らしさ”を表現する服装が上手との見方も(本人のインスタグラムより)
柔道・阿部詩、メディア露出が増えてファッションへの意識が変化 インスタのフォロワー30万人超えで「モデルでも金」に期待
週刊ポスト
昨秋からはオーストラリアを拠点に練習を重ねてきた池江璃花子(時事通信フォト)
【パリ五輪でのメダル獲得に向けて】池江璃花子、オーストラリア生活を支える相方は元“長友佑都の専属シェフ”
週刊ポスト
店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
大の里
新三役・大の里を待つ試練 元・嘉風の中村親方独立で懸念される「監視の目がなくなる問題」
NEWSポストセブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
「週刊ポスト」本日発売! 岸田自民「補助金バラ撒きリスト」入手ほか
NEWSポストセブン