東京23区の知られざる特徴MAP
こうした区別が生じたのは明治維新以降、中心部には高級官僚や資本家階級が、西部には企業管理職など新中間階級が、東部には労働者階級が集まったのが始まりで、それが時代の流れとともに変化してきたという。
「西部に位置する渋谷や新宿、池袋駅などでも、15分ほど歩くと木造住宅が密集している地域がある。千代田区も、お金持ちばかりとは限りません。たとえば神田はもともと下町で自営業者が多く、最近まで所得水準は低めでした。
一方、下町と誤解されがちな文京区根津や千駄木は実際には山の手にあり、所得水準は高い。高台の“山の手”は江戸時代に武士が住み、明治維新後は新中間階級が住むようになりましたが、低地の下町は町人が住み続けた。そうした前提を理解した上で実際に歩いて見て回り、町丁目ごとに細分化して数字を見ていけば細かな構造が見えてくるのではないかと考えて、本書を著わしました」
※週刊ポスト2021年12月3日号