芸能

風間杜夫「大河もつかさんも日活ロマンポルノが引き寄せてくれた」

日活ロマンポルノ出演当時を振り返る風間杜夫

日活ロマンポルノ出演当時を振り返る風間杜夫

 俳優・風間杜夫は、今年50周年を迎える日活ロマンポルノの常連俳優だった。仲間と劇団を立ち上げた翌年の1972年に初出演、以来1979年までに16本に出演した。風間が振り返る。【前後編の後編】

 * * *
 同じロマンポルノでも作品の質はさまざまですが、僕は作品に恵まれたと思います。特に田中登さんが監督した『昼下りの情事 変身』(主演/青山美代子)『真夜中の妖精』(主演/山科ゆり)『女教師 私生活』は、後に田中さんが「風間の代表作は深作欣二さんの撮った『蒲田行進曲』ではなく、この3本」と言ったくらいです。

 僕の役柄はどの作品でも、内面に鬱屈した感情を秘めたナイーブな若者で、全共闘が挫折したあとの若者の心情を反映していました。僕自身、20代はとても内向的で人と話すのが苦手。現場では女優さんと話もせず、昼休みは控え室に籠もっていました。田中さんの撮った3部作は僕にとって青春映画なんです。

 後にテレビドラマ『スチュワーデス物語』(1983年)の教官役で僕が若い女性に人気になると、池袋の文芸坐(現・新文芸坐)が「風間杜夫主演3部作」と銘打って一挙上映し、女子高生が殺到したそうです。支配人の才覚です(笑)。

『女教師 私生活』を撮るとき、田中さんが役者全員に「この作品で沖縄と本土の関係を描く」と意気込みを語りました。その関係の象徴として、僕が演じる沖縄から来た青年は兄嫁である本土の女性に陵辱されるわけです。記憶にある監督はみんな、ポルノを撮りながら、そこに社会的なテーマを込めていましたね。

 でも、映画を観て興奮したい、思い出して一発抜きたいと思っているお客さんはそれで満足するかな? と危惧があったので、『女教師 私生活』を映画館で観てみました。案の定、観念的な映像が続くと客席から舌打ちが漏れました。田中さんの作品は耽美的で、インテリや学生には高く評価されていましたけれど。

 1973年にたくさん出て、色もついちゃったし、そろそろ卒業かなと思っていました。そうしたら、NHKのディレクターのなかにロマンポルノ好きがたくさんいて、風間杜夫を観てくれていたんです。それで1974年の大河ドラマ『勝海舟』に声が掛かりました。

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト