アシスタントの期間はちょうど3年でした。長くいるとアシスタントに慣れすぎて独り立ちできないからという理由で、あらかじめ先生のアシスタントは3年と決まっていたんです。その後、『ダメおやじ』で小学館漫画賞を貰った時(1978年)に、先生がお祝いに来てくださいました。「俺のところにいた人間が漫画賞を取って嬉しいよ。おめでとう」と言っていただき、本当に嬉しかったです。
手塚先生は天才肌で雲の上の人。僕が子供の時にはすでに『鉄腕アトム』を描いて、その絵柄に惚れていました。先生の漫画を横に置いて、真似をしながら描いた。だから先生のアシスタントになれた時は雲の上にいるみたいに、ふわふわしていました。先生が仕事をしている、その後ろのちゃぶ台で、先生の背中を見ながら、僕はベタを塗っていた。「今俺は手塚治虫のところにいるんだよなぁ」、それだけでドキドキしていました。憧れの先生のところで仕事ができて、本当に良かったと。僕にとってはそんな先生です。