なお、このアニメの宗盛は、伝わる肖像画に近く、でっぷりとした貴族顔。『鎌倉殿』で清盛(松平健)ににらまれる小泉孝太郎の宗盛との違いも気になる。
もうひとつ、平安時代が面白いのは、もののけや夢のお告げ、御籤、占いなどの力がとても強いこと。
『鎌倉殿』には、しばしば後白河法皇(西田敏行)が生霊となって頼朝のところに現れる。「俺だよ」「挙兵の方はどうなっておる」「お主しかおらんのだ」と自分を圧迫する清盛の排除を促す法皇様。というか、ゴリゴリ押してくる。だが、信心深い頼朝は、挙兵の日取りもなかなか定まらない。何度も命の危機にさらされながら生き残る頼朝には何か不思議なものを感じるが、結局、その背中を押したのは、兵力とか士気とかではなく、生霊とインチキなくじだった。
アニメ『平家物語』の平重盛は、亡者が見える目を持っていた。それに対して、びわは「未来」が見える目を持ち、重盛に「お前たちはじきに滅びる」と告げるのである。ここでも懐妊した清盛の娘徳子に清盛を恨む怨霊が憑りつくなど、もののけは大きな影響を持つ。
『鎌倉殿13人』も『平家物語』も今後、激しい源平合戦へと突入していく。アニメでは、重盛や知将といわれた平知盛などは、颯爽とした男前だが、頼朝は、眉毛がハの字で顔がのっぺりと長くさえない感じ。キャラクター原案が高野文子というのもファンにはうれしいところだ。源氏側、平氏側、それぞれの視点で平安時代を見つめられる。いい機会である。