わずか数mmでも火山灰が積もれば大混乱必至
自宅の固定回線も大量の降灰での停電や架線・光ファイバー切断などが起これば、やはり使用できなくなる。
「対策として企業なら衛星電話を契約する方法があり、個人は複数キャリアと契約しておくとどれかがつながる可能性も。auのpovoや楽天モバイルなど月基本料無料の回線を利用すれば負担が少ない」(石川さん)
下水管が詰まって浄水場は機能停止に
「浄水場のろ過池に降灰すると、ろ過装置が目詰まりし、火山灰の成分によっては通常の方式では浄化しきれなくなり、飲み水が一気に不足します」(国崎さん)
過去には、積もった火山灰を流すために水の需要も高まり、供給が追い付かなくなった事例もある。
「火山灰が降雨などで側溝や下水道に流れ込むと、下水管内で堆積して詰まってしまい、下水があふれる可能性も高いんです」(国崎さん)
降灰時の鉄道はスリップや走れない車で大渋滞に
降灰で道路は白線が見づらく、停電すれば信号も消え、速度低下や渋滞が発生する。
鹿児島市が2018年に堆積厚30cmと1mの軽石コースと同30cm火山灰コースで走行実験を行った結果、「軽石では2WDは走行不能で4WDは走行可。火山灰では前輪駆動は走行可で後輪駆動は走行できる車とできない車があり、4WDは走行可だった」(同市危機管理課)という。
表でも3cmの降灰と降雨で2WDは走れなくなると予想されており、すると移動は歩くしかなくなるが、スリップした車がいつ歩行者に突っ込んでくるかわからない。そうした点にも気をつける必要が出てくる。
取材・文/北武司 イラスト/田中斉
※女性セブン2022年3月3日号