大衆演劇出身の早乙女太一。かつては女形を演じた
錠一郎にも孤独だった過去があり、整にももじゃもじゃ髪がコンプレックスだったり、気づいたことをとことんしゃべってしまうことから周囲に「うざい」と思われるなど、生きづらい一面がある。雲霧に至っては盗人である。早乙女太一は、ピカピカに輝く主人公の敵役というより、いろいろ抱えた彼らよりさらにひとつ屈折が多いような敵役。物静かで無表情で、わかりにくい。難しい役ともいえる。
決まったキャラクターからはみ出せない主役に対して、敵役は思い切ったことができる。物語を盛り上げるのは、個性的な敵役というのは、ドラマの鉄則だ。実際の現場では「いい敵役がいない」という声をよく聞く。子役からキャリアを積み、翳を感じさせる役で存在感を示すモノトーン太一。頼りにされる理由がよくわかる。