国際情報

ロシアvsウクライナのサイバー戦争 今回の“主役”は軍よりも「民兵」

ウクライナ「IT軍」の創設を宣言したミハイロ・フョードロフ副首相(Ukrinform/時事通信フォト)

ウクライナ「IT軍」の創設を宣言したミハイロ・フョードロフ副首相(Ukrinform/時事通信フォト)

 プーチン大統領の指示のもとウクライナに侵攻したロシア軍は、ミサイルによる無差別攻撃を展開するなどして、民間人の被害も広がっている。そうしたなか、ウクライナ側はサイバー空間からの“反撃”を試みている。現代の戦争は、陸海空軍の戦力だけで結果が決まるものではない。ロシア側とウクライナ側の間で、どのような攻防が繰り広げられているのか。世界のサイバー戦情勢に詳しい国際ジャーナリスト・山田敏弘氏がレポートする。

 * * *
 ウクライナのミハイロ・フョードロフ副首相は、ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、ロシアに対してサイバー攻撃で抵抗するIT軍の創設を宣言。国内外にいるウクライナ人などに参戦を呼びかけた。

 実は、ウクライナには、アメリカなどのようなサイバー軍や部隊は存在しない。そのため、国民だけでなく、サイバー攻撃やネットでの反ロシア活動をできる人たちと共に戦う「民兵」を募集したのである。実は、ウクライナは他国に比べてIT技術の高い人が多い。こうした活動によって、世界中から寄付なども集まり、情報戦またはプロパガンダが激化する様相になっている。

 ちなみに今回、世界屈指のサイバー攻撃能力を持つとされるロシアのサイバー部隊がほとんど目立った活動をしていないように見える。これまで散々、ウクライナにサイバー攻撃を仕掛けてきたにもかかわらず、である。

 その理由の一つには、ロシアの侵攻が始まる数か月前の2021年10月の時点で、世界最強であるアメリカのサイバー軍の関係者がウクライナ入りしており、さまざまな対策を実施していたからだ(アメリカ政府はこの時点ですでにロシアのウクライナ侵攻に対抗する準備をしており、水面下ではアメリカ側とロシアのサイバー攻撃の攻防も起きている)。

 とにかく、軍などのサイバー部隊は目立っていない。そんなこともあって、今回、ウクライナ側においてもロシア側においても、目立った活動をしているのは、個人ハッカーや、民間のサイバー攻撃組織などだ。

 では今、どんなサイバー「民兵」たちが動いているのか。

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン