ビジネス

鉄道車両の余生 塗り替えなしに地方を走ることも増加

渋谷駅前で観光案内所として機能していた「青ガエル」。2020年に秋田県大館市へと引き取られた

渋谷駅前で観光案内所として機能していた「青ガエル」。2020年に秋田県大館市へと引き取られた

 お馴染みだった鉄道車両が引退したあと、余生の過ごし方は様々だ。歴史的なものとして展示されたり、地方の鉄道を走ることもある。再び走ることになった場合、これまでは、その地方鉄道が指定する色に塗り直されることも多かった。ところが、最近は往時のカラーリングのまま走っている例が増えている。ライターの小川裕夫氏が、渋谷から秋田へ引っ越した「青ガエル」や、お色直しをせずに地方を走る鉄道車両の事情についてレポートする。

 * * *
 秋田県大館市は、東京・渋谷駅前広場に設置され、観光案内所としても使われていた東急電鉄5000形を2020年に譲り受けた。5000形は前から独特な外観で人気が高く、そのカラーリングと前から見ると丸みを帯びた下ぶくれ顔をしていることから”青ガエル”との愛称で呼ばれた。

 大館市は大館駅前にある観光交流施設「秋田犬の里」に、引き取った青ガエルを展示。観光案内や秋田犬の情報発信拠点として活用していた。

 秋田県は毎冬に多量の積雪を観測する。秋田犬の里に展示されている青ガエルは、冬眠という名目で一般公開を休止。今年は4月8日に冬眠から目覚め、一般公開を再開した。

「秋田犬の里は、市が整備した観光・交流施設です。大館市が青ガエルを引き取ったのは、もともと渋谷区と自治体間交流があったからです」と説明するのは、秋田犬の里の担当者だ。

 2001年、大館市と渋谷区は防災協定を締結。翌年、渋谷区は学校給食で大館市産のコメを使用開始している。

 こうした縁から渋谷駅前にある5000形が大館市へと引き取られることになったわけだが、「大館市民にとって、東急電鉄と言われてもピンとこないのが実情かもしれません。しかし、秋田犬の里は小坂鉄道の大館駅跡地を整備したものです。だから、鉄道とまったく無関係ではありません。青ガエルに会いに来た鉄道ファンが、小坂鉄道の史跡にも触れていくといった観光効果を生み出しています」(秋田犬の里の担当者)

 小坂鉄道は小坂鉱山で採掘された鉱石を運搬する貨物輸送がメインで、1994年に旅客輸送を終了。しかし、その後も貨物輸送は2009年まで続けられた。

 大館市に引き取られた青ガエルは、実際に営業運転していない。それでも一般公開されているため、昔を懐かしんで訪問する旧沿線住民や鉄道ファンがいる。

関連記事

トピックス

足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
山下智久と赤西仁。赤西は昨年末、離婚も公表した
山下智久が赤西仁らに続いてCM出演へ 元ジャニーズの連続起用に「一括りにされているみたい」とモヤモヤ、過去には“絶交”事件も 
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平の伝記絵本》水原一平容疑者の姿が消失、出版社は「協議のうえ修正」 大谷はトラブル再発防止のため“側近再編”を検討中
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン