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鉄道車両の余生 塗り替えなしに地方を走ることも増加

2013年に行われた「熊本電鉄電車ふれあいまつり」では、通称「青ガエル」元東急5000系電車(左)や昭和3年製造の「モハ71号」車両(右)などのレトロな電車が熊本電気鉄道の北熊本駅車両工場で展示された(時事通信フォト)

2013年に行われた「熊本電鉄電車ふれあいまつり」では、通称「青ガエル」元東急5000系電車(左)や昭和3年製造の「モハ71号」車両(右)などのレトロな電車が熊本電気鉄道の北熊本駅車両工場で展示された(時事通信フォト)

熊本電鉄が車体カラーを変えない理由

 大館市のほかにも、過去に青ガエルを引き取って実際に営業運転していた鉄道会社もある。それが熊本電気鉄道(熊本電鉄)だ。

「わずかな期間ですが、熊本電鉄で引き取った青ガエルを当社独自のカラーで走らせていたことがあります。しかし、車体を塗り替える際に東急時代の緑色に戻したら、思いのほか好評でした。わざわざ東京から乗りに来てくださるお客さんもいました」と懐古するのは熊本電鉄運輸課の担当者だ。

 熊本電鉄を走っていた青ガエルは2016年に運行を終了したが、熊本電鉄は2015年に東京メトロ銀座線から退役した中古車両を購入している。熊本電鉄に譲渡された東京メトロ銀座線の車両は、車体カラーを当時のままで運行をしている。

 銀座線のほかにも、熊本電鉄は2019年に東京メトロから日比谷線の車両を購入している。東京メトロの鉄道車両を続けて購入したのは偶然に過ぎず、「特に東京から鉄道ファンなどを呼び寄せる観光コンテンツにする目的ではありません。また、今後も観光の目玉にすることは考えていません」(熊本電鉄運輸課の担当者)という。

 そして、このほど熊本電鉄は静岡鉄道から古い車両を引き取った。静岡鉄道から引き取った車両も塗り替えずに運行を開始している。

「車体カラーを変えないのは、単純に経費を少しでも抑えるためです。鉄道車両は帯だけを塗り替えても、一編成で約200万円かかります。車体全体を塗り替えることになったら、費用はもっと高くなるのです。利用者の少ないローカル線は、少しでも経費を切り詰めなければなりません」(熊本電鉄運輸課の担当者)

 あちこちの鉄道事業者から鉄道車両を購入すると、熊本電鉄の車両から統一性が失われてしまう。それは鉄道会社としてのアイデンティティを喪失することにもつながりかねない。

「そうした懸念はありますが、まずは鉄道を存続させることが大事です。地方のローカル線は常に赤字です。少しでも経費を削減しなければならないのです」(熊本電鉄運輸課の担当者)

 熊本電鉄は観光の目玉にすることは否定したが、車体カラーをそのままにすることで沿線外需要を呼び込もうとする鉄道事業者もある。少なからず幼少期や青春時代に利用していた車両に会いたいと遠くまで足を運ぶファンがいるからだ。

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