会合に出席していた議員が語る。
「小野総括審議官は骨太の政策を担当する責任者だった。財務省にとって財政再建目標の維持は絶対に譲れない一線で、矢野康治・事務次官ら首脳部は部下たちに『ここだけはやれ』と檄を飛ばしていた。財務省はこの日の会合で、提案に本部長一任をとりつけて6月にまとめる骨太の方針に盛り込むことを決める方針だったから、一任がとれなかったのは大誤算。とくに骨太担当の小野氏には大きな失点となったのではないか」
しかも、小野氏には単なる失点にとどまらない事情があったという。
「小野さんは7月の人事で官房長に就任することが内定していた。財務省には3代先の次官までトップ人事を固めておく伝統があり、官房長から主計局長を経て次官というのが典型的なコースだ。官房長になるということは、次の次に次官に就任することがほぼ決まるに等しい。
官僚の出世コースのいわば最後の階段をのぼろうという時に、担当する国会対策で失点がつけば、せっかくの内定がどうなるかわからない。本人は相当不安に感じていたとしてもおかしくない」(財務省OB)
(後編に続く)
※週刊ポスト2022年6月10・17日号