国内

「航空会社幹部」騙る就活詐欺 関係を強要された上智大生、悲痛の告白【後編】

玲奈さんを騙していた西山と名乗る男

玲奈さんを騙していた西山と名乗る男

 採用活動を中止する企業が続出したコロナ禍の就職戦線で、志望会社の内定を夢見る一人の女子大生が詐欺師の毒牙にかかった。「縁故採用」をちらつかせて近づいた男・西山の要求は、徐々にエスカレートして……。被害にあったという今年3月に上智大学を卒業した玲奈さん(23・仮名)がおぞましい就活詐欺の一部始終を明かす──。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
 この夜の後も、玲奈さんは西山を疑うことができなかった。ほとんどの企業は既に採用を終えており、友人が次々に就職先を決めていたことも心を追い詰めていた。

「肉体関係を持った日から、要求はエスカレートした。『新橋でX社の関係者と飲んでいるから』と西山に呼び出され、初老の男性たちの目の前で身体を執拗に触られたこともありました。

 初老の男たちが西山を『この人は本当にすごい人だよ』と口を揃える、異様な空間でした」

 翌10月に会った時には「君をX社に入れるために役員まで巻き込んでいる」「X社に入りたいなら誠意を見せろ」などと5万円を支払うよう迫られ、玲奈さんは指定された口座にお金を振り込んだ。その口座名義人の名が、冒頭で玲奈さんが黒山署の警察官から告げられたAだった。

「その後、2月にもホテルに呼び出されて再び体を求められ、やはり避妊するそぶりは一切ありませんでした。

 西山には『内定しているから3月には入社できる』と言われ、グループ会社の役員の顔を立てるという理由で、また5万円を振り込みました」

 しかし4月になっても、玲奈さんのもとに入社の話は届かなかった。

「『5月に延期になった』と言われた後、4月21日を境に西山とはまったく連絡が取れなくなりました。電話をしても発信音が鳴らず、メールも送信できない状態でした」

 騙された──そんな疑いを持ちながらも、心身ともに疲弊し行動を起こせなかった玲奈さんのもとに、冒頭の黒山署からの連絡が入ったという。

 X社に聞くと、次の回答が返ってきた。

「Aという人物は弊社とは無関係であり、2021年度からCAの採用も行なっておりません。Aが語ったという縁故採用といわれるような雇用形態もなく、採用にあたって応募者の素行を調査することもありません」(広報担当)

関連キーワード

関連記事

トピックス

かつて俳優として数々の話題作として活躍してきた小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
真美子夫人とデコピンが観戦するためか
大谷翔平、巨額契約に盛り込まれた「ドジャースタジアムのスイートルーム1室確保」の条件、真美子夫人とデコピンが観戦するためか
女性セブン
思い出の木
上皇ご夫妻が田母沢御用邸記念公園ご訪問 思い出の木を前に「ずいぶん伸びているね」とお話された上皇さまのお手をギュッと握られる美智子さま
女性セブン
東京都知事選への意気込みを語る立憲民主党の蓮舫参院議員(AFP=時事)
《都知事選出馬表明》蓮舫氏が多用する「相手を肯定してから一気に落とす」攻めパターン「小池さん、まぶしくてかっこよかったです。でも…」
NEWSポストセブン
「滝沢歌舞伎」でも9人での海外公演は叶わなかった
Snow Man、弾丸日程で“バルセロナ極秘集結”舞台裏 9人の強い直談判に応えてスケジュール調整、「新しい自分たちを見せたい」という決意
女性セブン
亡くなったシャニさん(本人のSNSより)
《黒ずんだネックレスが…》ハマスに連れ去られた22歳女性、両親のもとに戻ってきた「遺品」が発する“無言のメッセージ”
NEWSポストセブン
主犯の十枝内容疑者(左)共犯の市ノ渡容疑者(SNSより)
【青森密閉殺人】「いつも泣いている」被害者呼び出し役の女性共犯者は昼夜問わず子供4人のために働くシングルマザー「主犯と愛人関係ではありません」友人が明かす涙と後悔の日々
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン
ハワイの別荘と合わせて、真美子夫人との愛の巣には約40億円を投資
【12億円新居購入】大谷翔平、“水原一平騒動”で予想外の引っ越し 日系コミュニティーと距離を置き“利便性より静けさ”を重視か
女性セブン
不倫疑惑に巻き込まれた星野源(『GQ』HPより)とNHK林田アナ
《星野源と新垣結衣が生声否定》「ネカフェ生活」林田理沙アナが巻き込まれた“不倫疑惑”にNHKが沈黙を続ける理由 炎上翌日に行われた“聞き取り調査”
NEWSポストセブン