国内

ネットで誹謗中傷する人たち 「侮辱罪厳罰化」は抑止力になるのか

侮辱罪厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が成立したことを受け、記者会見する(左から)木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチさん。2023年6月3日(時事通信フォト)

侮辱罪厳罰化などを盛り込んだ改正刑法が成立したことを受け、記者会見する(左から)木村響子さん、松永拓也さん、スマイリーキクチさん。2023年6月3日(時事通信フォト)

 2022年5月に開催された総務省のプラットフォームサービスに関する研究会で公開された資料によると、過去1年間にSNS等を利用した人の1割弱、8.9%の人が「他人を傷つけるような投稿(誹謗中傷)」の被害に遭っているという。年代別に見ると最も多いのが20代で16.4%、およそ6人に1人がネット中傷の被害者となっている。侮辱罪が厳罰化されるなど対策がすすむなか、誹謗中傷をする人とはどんな人たちなのか。ライターの森鷹久氏が、ネット中傷の加害者を訪ねた。

 * * *
 インターネット上での誹謗中傷対策として「侮辱罪」が厳罰化された。SNSなどで誹謗中傷を受けて自ら命を絶つ例も相次いだことから、こうした動きは数年前から活発化。誹謗中傷を受け自殺未遂に至った埼玉県在住の女性(20代)は、筆者の取材に対し「あまりに遅かった」としつつも「これで、SNSやネットを安心して使える日が来るかもしれない」と期待を寄せた。

 一方、ネットやSNS上には、今日も誹謗中傷としか思えない、他人への攻撃的な言説が散見される。

「そんなこと言っていません、迷惑です! 訴えますよ!」

 関東地方在住、飲食店経営の女性・A美(40代)は筆者の電話取材に、こう捲し立てた。筆者が電話をしたのは、ある女性のSNSのコメント欄に、この女性が「頭がおかしい」「子供がかわいそう、バカが遺伝している」などといった誹謗中傷のコメントを書き込んでいたからだった。誹謗中傷コメントの被害に遭ったのは、雑誌などで活躍する某モデル。所属事務所の関係者が、ことの顛末を教えてくれた。

「モデルのSNS投稿をめぐり、そのコメント欄でA美さんと他のユーザーが言い合いを始めたのがきっかけでした。A美さんはモデルの投稿に否定的だったようで、そんなことを書き込むなと指摘した他のユーザーらのコメントが気に食わなかった。最終的には、モデルのファンなんかろくな人がいない、モデルもファンも頭がおかしいと、書き込みがどんどん過激になっていったんです」(モデル事務所関係者)

実名で誹謗中傷、指摘には逆ギレ

 SNSにコメントを書き込む習慣があまりないとイメージしづらいかもしれないが、通常のSNSのコメント欄は、平和で穏やかな空間として存在している。ユーザーが有名でも無名でも、基本的にポジティブなファンの集まりが大半だ。ところが、ネットユーザーのわずか数%と言われる悪意あるユーザーによる悪質なコメントが出現すると、とたんに、そのコメント空間が毒々しいものに変質してしまう。では、ごく少数だが、大きな影響を及ぼす誹謗中傷をするユーザーは、いったいどんな人たちなのか。

関連記事

トピックス

「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止に…(時事通信フォト)
【デフリンピック半年前の騒動】デフサッカー男子日本代表が異例の活動中止「監督は聴覚障害に理解があるはずでしたが……」 ろう者サッカー協会が調査へ
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン
指定暴力団山口組総本部(時事通信フォト)
六代目山口組の新人事、SNSに流れた「序列情報」 いまだ消えない「名誉職」に就任した幹部 による「院政説」
NEWSポストセブン
元女子バレーボール日本代表の木村沙織(Instagramより)
《“水着姿”公開の自由奔放なSNSで話題》結婚9年目の夫とラブラブ生活の元バレーボール選手の木村沙織、新ビジネスも好調「愛息とのランチに同行した身長20センチ差妹」の家族愛
NEWSポストセブン
宮城野親方
何が元横綱・白鵬を「退職」に追い込んだのか 一門内の親しい親方からも距離置かれ、協会内で孤立 「八角理事長は“辞めたい者は辞めればいい”で退職届受理の方向へ」
NEWSポストセブン