侮辱罪の厳罰化は抑止力になるのだろうか?(イメージ)

自分と無関係なことに一喜一憂して感情をネットでぶつけてしまう(イメージ)

 奇遇なことに、橋本さんの投稿のコメント欄で大暴れしていたうちの一人、B子もまた、前述のA美と同じくSNS上に自身の個人情報を公開していた。公開情報で分かったのは、子供や夫の写真や勤務先と思われる職場で撮影された自身の姿。それらの投稿だけを見ると、幸せそうな普通の女性の、おだやかな日常がうかがわれた。コメント欄で激しく他者を罵る言葉を投げつけるとは、とても思えない。

 投稿内容から推測された都内のある会社を筆者が訪れると、SNSに登場する女性・B子が確かにいた。そして筆者はB子に、誹謗中傷投稿について聞いたのだが「そんな投稿をした覚えがない」というばかり。

「本当にやっていないし、思い当たる節もない。何かの間違いではないでしょうか?」(B子)

 ところが、B子の投稿内容をその場で突きつけると、B子の顔から血の気が引き「あっ……」と声を漏らした。

「確かに……そういうことを書き込んだかもしれません。でも、相手だって悪いのだしお互い様ではないでしょうか?(アカウント主の)美容師さんに迷惑がかかったのであれば謝りますし、投稿も今すぐ消します。この場で消すので、見ていてください」(B子)

 投稿は美容師によって消されていたはずだが、B子は筆者の前で別誹謗中傷コメントを消して見せ「こうやって消したし裁判とかはやめてほしい」と、涙目で訴えた。自分自身でも、いつどこで誹謗中傷をしたのか覚えていないことが窺える。いかに反省しているかを強く訴えてきたB子だったが、その反省はあくまでポーズだったとしか思えない。

 というのも、B子が誹謗中傷を繰り返していたメインアカウントとは別の「裏アカウント」を持っていることを、筆者は事前に知っていた。B子へ直撃した数日後、そこには「マスゴミから嫌がらせをされている」といった投稿がなされていて、驚くべきことに筆者がB子を「誹謗中傷している」と書かれていたのだ。B子の裏アカウントにダイレクトメールを送ると、アカウントは即日消えたが、やはりあのしおらしい反省は単なるポーズだったのだ。

 SNSが一般化し、自身とは無関係の人やモノ、そして事象を必要以上に身近に感じ、それらに一喜一憂してしまうような機会が増えた。人々は、自身とは無関係だからこそ、その物事に対して身勝手な感情を抱きやすい。それを自分の部屋の中で独り言としてつぶやくのと、ネット空間へ言葉を放出することには大きな隔たりがある。だが、スマホ画面を見ているだけだと、その空間に対する感覚が掴めず、無責任な言動を他者に浴びせやすいのかもしれない。これは法律が厳しくなったところで、ただちに止むものではないだろう。厳罰化され、実際に罰を受けてみないとわからないし、罰を受けても反省できない、そんな人々も増えているというのが実情なのだ。

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