「フランスではほとんどの人が、自分の健康状態を常に把握し、気を配る“セルフメディケーション”の意識が確立されています。実際にフランスでできた友人の多くは、私が管理栄養士だと知ると『最近、こういう不調があるが、何を食べたら体にいいのか』など積極的に質問し、生活に取り入れようとしていたことが強く印象に残っています。日本のように、頭痛や不眠などの不調が起こるとすぐに薬を服用したがる人はあまりいませんでした」(早川さん・以下同)
もちろん、体調が悪いときにすぐ専門家の診断を受けることができ、しかるべき薬をのめる環境が整備されていることは称賛すべき事実だ。実際、年間40兆円以上の医療費を投じることでまかなわれる「国民皆保険制度」の恩恵は大きい。しかし薬がすぐに手に入るからこそ陥る落とし穴もある。
「一度効いたものを連続してのみ続けた結果、思わぬ副作用に悩まされる人は少なくありません。たとえば、抗生剤が体にいいと思い込んでいた高齢者が、旅行前など体調を崩したくないときに予防として毎回服用し、かえって胃腸を悪くした事例があります。抗生剤には耐性菌を死滅させ、免疫力を下げる副作用があるため、必要なとき以外に服用するのは非常に危険です。適量以上の薬は毒と同じととらえてほしい」
※女性セブン2022年7月21日号