2021年に54℃を記録した米デスバレー国立公園(写真/AFP=時事)
気温とともに海水温が上昇し、漁獲量が減少している海産物の未来も不透明だ。
「九州などでは海藻を食べる魚が冬を越せるようになったことで、ウニの身が少なくなるといった影響が既に出ていますが、サザエなどの貝類でも同様のことが起きかねません。また海洋酸性化の害も受けているサンゴへの影響は壊滅的で、海の生態系が大きな被害を受けるでしょう。
海水温の上昇によって、秋や冬が旬となっていたサンマやブリなどの漁獲量が減り、一方で温帯の海に多いトビウオなどは多くの漁獲が見込めるかもしれません」(同前)
また、海水温の上昇は自然災害のリスクもはらんでいるという。富永氏が語る。
「一般的に大型台風は、暖かい海の上で発生しやすいと言われています。2021年に4月では珍しい大型台風が発生した時も、海水温の上昇が原因の一つでした。台風が通るコースへの影響も無視できず、これまでは九州・四国方面から北上するのが一般的でしたが、温暖化の影響でコースが蛇行しやすくなっています。
50℃超ともなれば、日本の東側から伊勢湾台風並みの台風がいきなり東京に上陸するケースも想定されます。住宅への影響は計り知れません」
日本が「50℃国家」になる日に備え、国を挙げての「灼熱対策」が急務となるのだろうか。
※週刊ポスト2022年7月22日号