チャットに応じる慶応大学4年生の大空幸星さん。NPO法人「あなたのいばしょ」を2年前に立ち上げた
「あなたのいばしょ」では、年間20万件以上のチャット相談に応じている。これだけの数に対応できるのは、世界26か国に600人のボランティア相談員を配し、時差を利用して24時間相談に応じているからだ。
利用者は女性が多く、その内容は、育児や家事のストレス、経済的不安や暴力など多岐にわたるが、どんな複雑な悩みにも最善の対処法はやはり、相手の話をじっくり聞く“傾聴”だという。
「生活やお金など、経済的な悩みを抱えている人ほど、孤独になりやすい。経済的余裕のなさは、メンタル面にも影響し、孤独を感じやすくなります。それに耐えられなくなると、死にたいと思い詰めるのです。これを解消するには、絶対に誰かと話し、つながらなくてはいけないんです。『あなたのいばしょ』がその役目を果たし、悩みを安心して打ち明けられる場所になれればと思っています」
大空さん自身、両親の離婚や母親からのネグレクトなどによって心身ともにボロボロになり、死にたいとまで思い詰めたことがあったという。
「ぼくの場合は、相談にのってくれたのが高校の担任の先生でした。涙を流しながらぼくの話を聞いてくれ、“この人を頼っていいんだ”と思えました」
周りには誰も味方がいない、自分の命を捨ててしまいたいと思ったとき、この日本には、その命を必死に守ろうとしている多くの“他人”がいる、ということを頭の片隅に置いてほしい。自分で自分の価値が認められなくても、誰かがあなたの命を守りたいと思っている。自分にはそれだけの価値があるということを、どうか覚えていてほしい。
※女性セブン2022年8月4日号
「生活・お金」に悩んでいる人ほど孤独を感じていた