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「たかが痔」の危険性 「痔だと思っていたら、がんだった」のケースも

痔が命に関わる病につながるケースも(イメージ)

痔が命に関わる病につながるケースも(イメージ)

 夏本番。冷えたビールや日本酒が進む季節だが、体の「出口」の異変には気をつける必要がある。都内在住の50代男性Aさんが語る。

「デスクワークが続き、仕事後に冷房が効いた居酒屋で連日、お酒や辛い物を食べたのが祟ったのか、お尻の穴を針でチクチク刺されるような痛みが出ました。その後、下着に出血や鼻水のような膿が頻繁に付着するように。肛門の痛みや膿が出続けるので肛門科クリニックに行くと、『痔ろう』だと診断されました。日帰り手術ですぐに終わるだろうと甘く見ていたのですが……」

 医師は「たかが痔」と油断していたAさんに、こう警告を発したという。

「このまま放っておくと、肛門のがんになりますよ」

 Aさんが振り返る。

「医者から『痔ろうは前がん状態です』と告げられ、すぐに患部の切除手術を受けました。痔ががん化すると聞いた時は、生きた心地がしませんでした」

 24年間にわたり、約10万人の肛門を診てきた医師で、『痛み かゆみ 便秘に悩んだらオシリを洗うのはやめなさい』(あさ出版)の著書がある大阪肛門科診療所の佐々木みのり副院長が指摘する。

「“痔だと思っていたら、がんだった”という患者はいます。痔は肛門の良性疾患の総称で、『裂肛(切れ痔)』『痔核(いぼ痔)』『痔ろう(あな痔)』が3大痔疾患です。特に痔ろうには注意が必要で、炎症が起こった状態を長期間放置すると『痔ろうがん』になるリスクが出てきます」

 痔ろうは痔に悩む日本人男性の約18%を占めるといわれる(「肛門部疾患診療最前線2007」)。下痢がきっかけとなることが多く、「肛門陰窩」という部位に便が入り込み、細菌が炎症を起こして膿が溜まり、漏れ出てくる病気だ。

「疲れが溜まって免疫力が落ちていることや、飲酒、体の冷えなどが原因になりやすい。下痢や軟便が続けば誰にでも生じる可能性があります」(佐々木医師)

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