歌詞の中にあるエモいメッセージに共感
私立大学で軽音サークルに所属する男子学生・Cさん(19歳)とDさん(20歳)は、前述の「マイヘア」をはじめ、「エモさ」を兼ね備えた邦ロックバンドが“さとり世代に刺さる”と語る。
「邦ロックは特に恋愛の曲が多く、歌詞のなかに自分達世代が共感するようなエモいメッセージがあって、自分と重ねて音楽に酔いしれて『エモい気分』とか『チル(Cill)』な雰囲気に浸ったりできるのが魅力。自分が好きなバンドは『Saucy Dog』。失恋して落ち込んでいる友達が勧めてくれた曲で、まさにエモい雰囲気が僕らの世代にマッチしていると思います」(Cさん)
Cさんに同意しつつ、Dさんも次のように続ける。
「僕たちは、“さとり世代”や“Z世代”などと呼ばれてきたのですが、邦ロックバンドはその世代が共感できるような、言語化しづらい感情をうまく言葉にしてくれるから流行っているのだと思います。ロックなので、その感情を遠回しにすることなく、かといってパンクのように直接的過ぎず、ほどよい距離感で表しているので刺さるんだろうなと感じます。自分の言葉で伝えるのは恥ずかしいけれど、インスタのストーリーなどの投稿に、楽曲を添えることで『自分の今の気持ちはこれだよ』と代弁してくれるので、便利ですねね」(Dさん)
TikTokというSNSの拡散力と、Z世代の気持ちを代弁してくれる「エモさ」という要素が、邦ロックを再流行させている側面もあるのではないか。