かつての王者、TBSラジオの凋落に歯止めはかかるか
オールナイトニッポンブランドの活用
お笑い芸人の年齢が全体的に上がっているとはいえ、もっとも若い山里で45歳。ずっと聞き続けているリスナーにとっては安心感があるかもしれないが、若いリスナーを新たに獲得するうえで、ハードルになっているかもしれない。
「彼らは人気があるし、結果を残してきたから今も続いているわけで、それ自体は凄いことだと思います。『オールナイトニッポン』木曜担当のナインティナインも50歳を過ぎていますしね。ただ、ニッポン放送は50代や60代のパーソナリティを22時台の『オールナイトニッポンGOLD』に持ってきています。また、24時台に『オールナイトニッポンX』、深夜3時台に『オールナイトニッポン0』という予備軍を置き、深夜1時台の『オールナイトニッポン』が新陳代謝しやすい環境を整えています。
55年続いているオールナイトニッポンブランドを生かして、同じ冠名の派生番組をたくさん作って、それぞれに役割を持たせてうまく回している。『オールナイトニッポン』の好調が局の浮上につながっている面はあると思います」
TBSラジオの『JUNK』はかつて24時台や土曜にもあったが、現在は月曜から金曜までの5番組だけになっている。
「TBSラジオは1998年から2010年まで22時台に『アクセス』という時事問題を扱う番組を放送していました。各ラジオ局とも22時台は若者が聞く時間帯と考えていたので、この番組は斬新でしたし、聴取率も良く、TBSラジオが1位を取り続けた大きな原動力になりました。
『アクセス』が終わった後も、この時間帯は『ニュース探究ラジオ Dig』『荻上チキ・Session-22』とニュースを扱う番組が続きました。今の『アシタノカレッジ』は毛色が違いますが、ニュース色の残る曜日もある。今後この時間帯をどうするかがTBSラジオの鍵を握るのではないでしょうか」
ニッポン放送は6月に過去のオールナイトニッポンを聴けるサブスクリプションサービス『オールナイトニッポンJAM』もスタートさせた。順次公開される主に2000年以降の秘蔵音源を30日間500円で聴ける。7月下旬からは、1998年に放送された元X JAPANのhideの『オールナイトニッポンR』も配信されている。
「最近のニッポン放送は攻めています。過去の音源は許可取りが大変だと思いますが、これも『オールナイトニッポン』ブランドを生かした戦略です。新しいことに挑戦する姿勢がradikoでの結果にもつながっていると思います」
ニッポン放送が長い不調から立ち直り、巻き返している。TBSラジオが対抗していけば、さらにラジオ界は盛り上がっていくだろうが、はたして──。