芸能

高田文夫氏 落語ドラマの名作『タイガー&ドラゴン』に至るまでのオレの噺をきけ!

『タイガー&ドラゴン』にまつわる話

『タイガー&ドラゴン』にまつわる噺(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、落語にとって冬の時代だった1980年代から、2005年のドラマ『タイガー&ドラゴン』が生まれるまでを綴る。

 * * *
 創業150周年という老舗・明治座で3日間、私の企画プロデュースで日替り公演。連日の大入りは有難い限り。中には前売り即完売の「私と爆笑問題、サンドウィッチマン、ナイツ」という東京の笑芸マニアには夢にまでみたマッチメイクまで実現。

 さまざまな企画もあったのですが感動的だったのは「文夫の部屋」でお招きしたゲスト宮藤官九郎、横山剣との3人トーク。勘のいい人、芸能IQの高い人はすぐにお分かりでしょう。そう、2005年のドラマ『タイガー&ドラゴン』です。ここに至るまでには長い過去の話がありまして……まさに“オレの話(噺)をきけ”であります。

 1980年に「漫才ブーム」が吹き荒れます。私はその前から親しくしていたビートたけしと『オールナイトニッポン』をスタートさせ『オレたちひょうきん族』も一緒にやりました。そうすると昔からあった演芸の王者「落語」の影が薄くなります。これはまずいとフジテレビの横澤、佐藤両氏と深夜若者向けに『らくごin六本木』を始めます。私は構成とついでに司会。5年以上やりましたが大して話題にもならず……しかし、この番組から小遊三、米助が少し脚光を浴びます。

 そんなさなか立川談志が師匠小さんとケンカして落語協会を飛び出します。マスコミはここぞとばかり談志を叩きました。弱っているときいていたので、すぐさま私は駆けつけ、たけしと共に弟子入り。一気にマスコミは談志サイドに。

 私は作家をやりながらこの時代、キチンと噺を稽古し現代的なギャグを放り込んだ古典落語を量産し、あの紀伊國屋ホールで10年間独演会。速記本からCDからもの凄い売れた立川藤志楼です。漫才ブームの1980年代「落語」で話題になったのは、36人抜き真打の小朝と新作の革命、円丈。そして私の3人だけです。

 この3人をみて落語界に入ってくるのが、のちの昇太、志らく、談春らです。草木も生えなかった1990年代2000年代。私は才気あふれる売り出し中の作家・宮藤官九郎に「3日間、劇場はいい所押えるから志の輔、昇太、志らくに新作を書いてくれないか」と頭を下げました。若き才能は若き演者と手を組むべきと考えたのです。

 1年後「これでいいですか」と企画書を持ってきます。『タイガー&ドラゴン』。クドカン曰く「噺家が落語やるより、ジャニーズが落語をやった方が話題になりますよ」。

 文句なし。曲も横山剣の『タイガー&ドラゴン』。この日から寄席に客がもどってきた。

※週刊ポスト2022年9月16・23日号

関連記事

トピックス

夫・井上康生の不倫報道から2年(左・HPより)
《柔道・井上康生の黒帯バスローブ不倫報道から2年》妻・東原亜希の選択した沈黙の「返し技」、夫は国際柔道連盟の新理事に就任の大出世
NEWSポストセブン
新潟で農業を学ことを宣言したローラ
《現地徹底取材》本名「佐藤えり」公開のローラが始めたニッポンの農業への“本気度”「黒のショートパンツをはいて、すごくスタイルが良くて」目撃した女性が証言
NEWSポストセブン
妻とは2015年に結婚した国分太一
《セクハラに該当する行為》TOKIO・国分太一、元テレビ局員の年下妻への“裏切り”「調子に乗るなと言ってくれる」存在
NEWSポストセブン
1985年春、ハワイにて。ファースト写真集撮影時
《突然の訃報に「我慢してください」》“芸能界の父”が明かした中山美穂さんの最期、「警察から帰された美穂との対面」と検死の結果
NEWSポストセブン
歴史学者の河西秀哉氏
【「愛子天皇」の誕生を希望】歴史学者・河西秀哉氏「悠仁さまに代替わりしてから議論しては手遅れだ」 皇位継承の安定を図るには“シンプルな制度”が必要
週刊ポスト
無期限の活動休止を発表した国分太一
「給料もらっているんだからさ〜」国分太一、若手スタッフが気遣った“良かれと思って”発言 副社長としては「即レス・フッ軽」で業界関係者から高評価
NEWSポストセブン
ブラジル訪問を終えられた佳子さま(時事通信フォト)
《クッキーにケーキ、ゼリー菓子を…》佳子さま、ブラジル国内線のエコノミー席に居合わせた乗客が明かした機内での様子
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
インドのナレンドラ・モディ首相とヨグマタ・相川圭子氏(2023年の国際ヨガデー)
ヨグマタ・相川圭子氏、ニューヨーク国連本部で「国際ヨガデー」に参加 4月のNY国連協会映画祭では高校銃乱射事件の生存者へ“愛の祝福”も
NEWSポストセブン