SHIGETAハウスプロジェクト
現在は、それら薬剤療法を行ないながら、家族や地域の協力のもと、認知症と向き合うアプローチの仕方が効果を上げている。
「私が必ず認知症の検査前に、ご本人にいうのは単なる老化でも認知症でも対処法は同じであり、元気だった頃に何をしていたかを思い出し、その生活を再現することが一番大切だということです。例えば以前に煎茶を入れて新聞を広げるなど、長年の習慣がある場合、その人の多くの記憶とルーティンが結びついており、そういった日課には重要な意味があります。
それを再開することで、本来の自分と自信を取り戻すことに繋がります。また家族や地域とのコミュニケーションも大事なので、認知症と向き合うSHIGETAハウスプロジェクトを始めています」(繁田教授)
前述の薬剤療法と患者を尊重し、家族や地域が患者の心に寄り添うことで、アルツハイマー型認知症の進行が半分から3分の1に遅くなり、軽度期間も2~3倍に延長されたとの報告がある。
今後も認知症治療には薬だけではなく、患者の自主性やQOL(生活の質)を重視した考え方が求められる。
取材・構成/岩城レイ子
※週刊ポスト2022年9月30日号