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ヤクルト・村上宗隆を深く知る3人の証言 「プロ入り前夜」と「新人時代の頑固さ」

3年夏の決勝に敗れた後、対戦相手の秀岳館・川端健斗選手(右)と記念撮影。2人は一緒に花火大会に行く仲(写真提供/川端健斗)

3年夏の決勝に敗れた後、対戦相手の秀岳館・川端健斗選手(右)と記念撮影。2人は一緒に花火大会に行く仲(写真提供/川端健斗選手)

 プロ入り5年目にして日本人登録選手最多タイの55本塁打を記録、三冠王も視野に入る村上宗隆(22)はどう成長してきたか。スポーツライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * *

恩師とライバルが語る「プロ入り前夜」

 三兄弟の次男である村上宗隆が中学時代に所属した熊本東リトルシニアの吉本幸夫監督は、打撃もさることながら、主将として常に声を張り上げ、他の選手を叱咤激励する少年期の姿を現在の“村神様”と重ねる。

「喜怒哀楽を表に出すベンチの様子も当時のままですね。とにかくボールを飛ばすことに長けていて、よく近所の家の屋根を壊していた。その度にお父さんが(熊本の銘菓である)『陣太鼓』を持参していました(笑)」

 吉本監督は、中学時代の村上の映像を大事に携帯電話に保存している。

「テークバックがコンパクトで、当時は引っ張りだけだった。U-15の侍ジャパンに選ばれず、U-18でも漏れた。それが悔しく、ドラフトで指名された時、『将来は日の丸を背負いたい』と話していたことを覚えています。メジャーの夢? それは聞いていない(笑)」

 日の丸を背負えなかった反骨が、成長を促した。

 高校時代、村上が聖地・甲子園への切符を阻まれ続けたのが、秀岳館の川端健斗だった。通算7度対戦し、被安打はわずか1だ。攻略のカギは外角にあった。

「当たれば飛ぶことは分かっていましたが、外の真っ直ぐとスライダーを間違わなければ長打はないし、シングル(単打)ならOKという感じでした。今は外角の変化球や剛速球を左中間に運びますよね。別人です」

 一度、インコースのボールが死球となり、睨まれた。

「先日、(横浜DeNAの)エスコバーに当てられて睨みつけていましたよね。あんな感じです(笑)」

 川端は立教大学に進学し、昨年、トミー・ジョン手術を経験。現在は“5年生”として浪人生活を送る。プロの舞台での再戦を望むが、急がなければ村上が海を渡ってしまう可能性もある。

「そうですね! でも焦ることはないです」

 村上も川端との再戦を望んでいるはずだ。

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