ネコ耳ポリスとしてハロウィーン本番を前に渋谷へ(時事通信フォト)
「今年のハロウィンは平日だから、帰宅ラッシュの満員電車にコスプレの若い女が乗ってくるんです。電車が渋谷駅に差し掛かる頃にはコスプレだらけになっていて、満員だから連中のメイクがスーツやコートにペタペタくっつくんです」
こんな気の毒な思いをしたというのは、渋谷駅乗り換えで都内の自宅に帰宅中だった会社員・佐々木大地さん(仮名・40代)。急に寒くなり、今年初めておろしたお気に入りのウール製コートには、なかなか取れそうにない赤や白や黄色のメイクがベッタリ付着しているという。
また、ハロウィン期間は渋谷駅近辺の小売店がアルコールの販売を自粛したとはいえ、やはり酒や酔っぱらいにまつわるトラブルも、あちこちで起きていたようだ。渋谷駅近くまでハロウィン客を送ってきたというタクシー運転手・角拓也さん(仮名・40代)もまた、うんざりしたような表情のまま状況を説明する。
「渋谷は酒が売ってないからと、自宅で飲んで酔っぱらい、それからタクシーを呼ばれますでしょ? タクシーの中でも飲まれて、そのまま車の中で粗相されたという話は聞きました。私も、ここまで乗せてきたお客さんに”ビールの空き缶捨てといて”と言われて、ゴミを放置されたところですよ。街中で嘔吐されている方も少なくないです。みなさん、バレないように水筒に酒を入れて持ってきたり、色々工夫されているようですね。まあ3年ぶりだし若い人は仕方がないんですかねえ、韓国の事故があったばかりでちょっと恐ろしいですよ」
さらに、やっぱりというか、冗談にならない悪ノリをする連中も各地で相次いでいる。
「京王線事件で話題になった“ジョーカー”のコスプレや、ロシア兵みたいな格好の若者がいたという情報がありました。流石にシャレにならないため、そういうコスプレがいたら警察も声かけしたりしていました。全く何を考えているのか」(民放キー局ディレクター)
とにかく、3年ぶりのハロウィンは違法行為、迷惑行為なんでもあり、全国で大騒ぎだったわけだが、ハロウィンの現場にいた若者たちが、実に生き生きしているように見えたというのは正直な感想だ。ハロウィンなど「日本の文化ではない」と眉をひそめる人もいれば、単なる「大騒ぎ」と指摘されても仕方ない現状であることも事実だろう。しかし個人的にも、あれほど大人数の人々が集まり、楽しそうにしている様子を見たのは久々で、まさにコロナ禍前の雰囲気を思い出す。迷惑行為や違法行為は言語道断としても、この若いパワーが、かつての日常をぐっと引き寄せてくれるとよいのだが。
バスケ選手と戦隊ヒーロー異色のコンビが渋谷ハロウィンに(AFP=時事)
着ぐるみパジャマは寒かった?(AFP=時事)