最初は電気槍での捕獲を試みたという

神奈川県秦野市では野生イノシシを市の職員が駆除

まるで強盗

 イノシシばかりではない。近年、全国の市街地には野生のサルがたびたび出没し、人身被害も多発している。

 11月4日には、長野県飯田市の住宅にサルが侵入。一人暮らしの70代女性に襲いかかる事件が起きた。女性は自宅居間のコタツでくつろいでいるところだった。

 7、8月には、山口市の住宅街で乳児を含む66人が、野生のサルに次々と襲われる衝撃的な事件もあった。住宅の網戸を開けて侵入したサルが乳児の足を引っかいたのを皮切りに、山口市小郡地区の3km四方の範囲で、住民が噛まれるなどしてケガをしたという。前出・田中氏はこう指摘する。

「サルが自ら人家に忍び込み、人間を襲うケースが生じ始めたのは、まさに異常事態です。なかには冷蔵庫の食料を奪われたケースもあるようで、サルが強盗のようになっている。頭数が増えるに連れ、これまで棲んでいた山間部では餌が確保できなかったり、勢力争いや縄張り争いの結果、新天地を求めて移動する個体が増えているのです」

 都市部での出没が増えたのも、実はもっともな理由があるという。

「都市部には大きな公園や空き家、空き地があり、野生動物が身を潜めることができるうえ、ゴミ置き場などのエサ場も豊富にあります。罠にかかったり、猟銃で撃たれたりする危険性も少ないため、慣れてしまえば、都市部に棲み着く個体がいても、なんらおかしいことはない。

 万が一、街中で野生動物と出くわしたら、目を逸らさず、ゆっくり後ずさりしてその場から離れるのが基本。野生動物の多くはいきなり逃げ出すと追いかけてくる習性があります。決して背中を見せてはいけません」

 街なかに現れた野生のイノシシを駆除した、秦野市役所農業振興課・鳥獣対策担当課長代理の岩田雅弘氏も同様に、鉢合わせたらゆっくりと距離を取って避難すべきとしたうえで、「すぐに近くの役場や警察に通報してください」と力を込めた。

 一般市民では対処しきれない獣害に、自治体職員らが最前線で奮闘している──。

(了。前編から読む

※週刊ポスト2022年12月16日号

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