国内

凶暴イノシシと戦った秦野市役所・課長代理が激白 「槍」で突いて駆除するまで

イノシシと格闘した秦野市役所の岩田雅弘氏

イノシシと格闘した秦野市役所の岩田雅弘氏

 都心から電車で1時間余りのベッドタウンで、巨大イノシシと市職員の白兵戦が繰り広げられた。イノシシと格闘した秦野市役所農業振興課・鳥獣対策担当課長代理の岩田雅弘氏に話を聞いた。【前後編の前編】

歯をカチカチ鳴らし威嚇

「小学校の校庭にイノシシが迷い込みました!」
「危険ですので立ち止まらず、この場を離れてください!」

 大声で避難を呼びかける警察官の声が街に響いた。隣接するこども園に幼児を送り届けた保護者ら10人以上が、不安げな表情を浮かべフェンス越しに校庭を覗き込む。校庭の奥では、体長1.6mを超える巨大な雄のイノシシと、市役所職員らが睨み合いを続けていた。

 興奮状態のイノシシはフゴフゴと鼻息も荒く、歯をカチカチと鳴らして威嚇。捕獲しようと職員のひとりが背後から近付いた次の瞬間、イノシシは向き直り職員に突進した。その顔面を目掛け、職員は迷わず槍を突き立てた──。

 11月24日、神奈川県秦野市の住宅街に、1頭の野生イノシシが現われた。出没した範囲は広範に及び、路上では、突進された30代男性が足を負傷。その15分後には、近くのショッピングモールの出入り口付近でイノシシと出くわした80代女性が、避けようとして転倒、頭部に軽傷を負った。

 その後もイノシシは街中を進み、小学校の校庭に侵入。通報を受けた市役所の職員らが駆け付けると、安全のためにその場での駆除が決まった。

 このイノシシと格闘した秦野市役所農業振興課・鳥獣対策担当課長代理の岩田雅弘氏が語る。

「同日早朝から目撃情報が相次いで寄せられていたため、担当職員が二手に分かれて行方を追っていました。我々が小学校に到着した時には、すでに児童は安全に避難が完了し、校庭には我々と警察官、教職員のほかは誰もいませんでした」

 しかし、捕獲は一筋縄ではいかなかった。

「すでに人的被害が出ている状況を鑑み、まずは動きを止めようと電気槍での捕獲を試みました。簡単には近付けず、一進一退の攻防が10分ほど続いた後、突進してきたイノシシに電気槍を弾かれたので、今度は刃をつけた槍に持ち替え、左目の眼窩付近をひと突きしたところ、ようやく動きが止まりました」(岩田氏)

 その後も立ち上がってフラフラ歩くなど、しばらく息をしていたが、15分ほどして動かなくなり、死亡が確認された。

「時速50kmに達する速さで走り、急に向きを変えるなど素早く動き回るイノシシは、人が走って逃げても簡単に追い付かれてしまうので非常に危険です。イノシシが落ち着いたタイミングを狙い、そっと近寄りました」(岩田氏)

関連記事

トピックス

俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
AIの技術で遭遇リスクを可視化する「クマ遭遇AI予測マップ」
AIを活用し遭遇リスクを可視化した「クマ遭遇AI予測マップ」から見えてくるもの 遭遇確率が高いのは「山と川に挟まれた住宅周辺」、“過疎化”も重要なキーワードに
週刊ポスト
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト