台湾の蔡英文総統が今年5、6月に訪米し、かつて留学していたコーネル大学で講演するほか、バイデン大統領らと会談するとの観測が出ていることが分かった。これが現実になれば、習近平国家主席ら中国共産党指導部が強硬に反発することは必至だ。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」などが報じている。
蔡氏の訪米については、民主進歩党(民進党)の複数の立法委員(日本の国会議員に相当)がメディアに「今年上半期の5、6月の訪米し、下半期からは来年の台湾総統選挙の準備に専念する」と語っている。
こうした動きを裏付けるように、台湾の呉ショウ燮外交部長(外務大臣に相当)らが米国を訪問中で、2月21日にはシャーマン国務副長官らと会談している。
台湾の複数のメディアによると、双方はおよそ7時間にわたって会談。台湾の外交や安全保障などをめぐって突っ込んだやりとりが行われたとみられるほか、先週には米国防総省の高官が台湾を訪問したとも伝えられている。双方の高官の往来が活発化しており、蔡氏の訪米日程なども協議されたとの情報も伝えられている。
これについて、台湾外交部の劉永健報道官は、「台湾とアメリカとの間の意思疎通はスムーズに行われている。台湾はこれからもアメリカと密に連絡を取り、アメリカと中国との交流を随時把握できるよう努める」などとコメントしているが、蔡氏の訪米について、否定しなかったため、蔡氏の訪米が現実味を帯びてきている。
蔡氏は総統として2019年、カリブ海諸国訪問の途中で米ニューヨークを訪れている。その際、米政府は蔡氏が台湾と外交関係のある国々の国連大使と面会を認めるなど厚遇しているが、それ以上の厚遇となれば、米中対立の深刻化は避けられないだろう。