寝不足時も座ったほうがよい(イメージ)

寝不足時も座ったほうがよい(イメージ)

電車では「立っている」?「座っている」?

 通勤や通学で使う電車やバスの車内でも血圧を左右するポイントがある。

「元気な人は筋力維持のために立つほうがいいものの、高血圧治療中の人は無理せず座ったほうがリラックスできます。ただし、立ち上がる時は起立性低血圧(立ちくらみ)に注意が必要。事前に足を動かし、呼吸を整えてゆっくり立ち上がるようにしてください。

 重い荷物を持って立っている場合は血圧が上がりやすいので網棚か床に置きましょう。また、寝不足の人は高血圧状態なので、乗車時は無理せず座るべきです。平均約6時間を下回る睡眠時間の場合は注意が必要です」(渡辺医師)

息を吸い込むのは「口から」か「鼻から」か

 気温上昇とともに、花粉症シーズンも到来した。コロナ対策としてのマスクから花粉症対策に目的を変えて手放せないという人は多い。鼻詰まりに悩む人も多いが、それが血圧にも影響する。

「鼻が詰まると血圧も上昇することが研究でわかっています。口呼吸よりも酸素を取り入れることができる鼻呼吸は、深くすることで副交感神経が優位になるだけでなく、血管拡張作用のある一酸化窒素(NO)を肺から生み出すことにも繋がり、血圧低下作用が期待できます」(渡辺医師)

 花粉症治療で鼻の通りをよくすることが血圧にも好影響を与えるという。

テレビを観るなら「スポーツ」?「お笑い番組」?

 WBCが開幕、自宅で応援する人が増える今、スポーツ観戦時の血圧上昇リスクにも注意したい。

「格闘技などと比べ野球は比較的落ち着いて見られますが、大谷翔平選手のホームランなどで興奮し大声を出したりすると、血圧は瞬時に急上昇します。私が診ている患者で確認したところ、昨年のサッカーW杯の日本戦後は、夜中でも血圧を測ると高い状態が続く人が多くいました」(渡辺医師)

 テレビでのスポーツ観戦が血圧を上昇させるのに対して、「お笑い番組」は血圧を下げる可能性があると渡辺医師は言う。

「笑うことで心身をリラックスさせる副交感神経が優位になり、血圧を上昇させるノルアドレナリンが抑制されて血圧改善に効果的と考えられます」

 2020年に報告された順天堂大大学院などの研究チームの調査でも、笑う頻度が多い中年男性は血圧に好影響をもたらしている可能性が示唆された。

 わずかな違いを意識すれば、「血圧を下げる習慣」を身につけられる。

※週刊ポスト2023年3月24日号

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