愛媛県は養殖マダイで日本一の生産量を誇る。県南西部に位置する宇和島の沿岸は、湾や入り江が多いリアス式海岸。温かい黒潮が流れ込む最高の漁場で育つのは、ブランド鯛の「愛鯛」だ。“本当に旨い養殖マダイを作ろう”と県内の養殖家と愛媛県漁協宇和島事業部が協力し、20年に及ぶ研究を重ね、2006年に誕生した。
こだわりの一つは、独自開発の餌だ。
「天然のミネラル・ビタミンやたんぱく質・脂質などを独自に配合した飼料を与えることで、従来の養殖マダイの肉質を大幅に改善しました。もっちりとした食感としっかりとした歯ごたえが特長です。鯛にストレスをかけないために、生け簀1基あたりの養殖数も制限しています。一般的な養殖に比べて密度を1割程度下げて、長さ12メートル×幅12メートルの生け簀で約6000~7000匹しか育てていません」(養殖家の大塚太一さん)
身が引き締まり、生魚特有の“臭み”がなく、魚が苦手な子供でも食べやすい。薄い飴色をしているのが「愛鯛」の特徴だ。漁場は潮通りがよく、プランクトンが豊富。6000?7000匹に対して、週3日、1回100kgのオリジナル飼料を与える。海面のネットは防鳥対策だ。出荷サイズの基準はないが、通常1.5~2kgで出荷。漁協がドリップの有無や食味の検査を行ない、専用工場で加工。年間30~40万尾を安定供給する。
『愛媛県産 愛鯛 刺身用 スライス(10切×6パック 冷凍 8500円〈送料込〉)は、愛媛県のマダイと「逢いたい」をひっかけて命名されたブランド鯛。新鮮な切身が1人前(約100g)ずつパックされているので、鯛めし、しゃぶしゃぶ、カルパッチョなど幅広く利用できる。
取材・文/戸田梨恵
※週刊ポスト2023年3月31日号