整形は「公表する時代」へ
美容外科の東京イセアクリニックによると、2015年から2021年までの7年間で、未成年の“目元整形”の施術数は47倍に増加したという。同クリニックの形成外科専門医で、今回この母娘を担当した鈴木知佳医師が解説する。
「美容整形の低年齢化は年々進んでいます。整形は“隠す時代”から、スマホの普及やSNSの隆盛により“公表する時代”へと変わったことが大きいと思います。
しかし低年齢化したからといって、きちんとしたカウンセリングなしに整形を決断することは危険です。未成年の価値観は不安定で、顔そのものも成長とともに変化する可能性が大いにあるからです。そのことを保護者のかたも深く理解する必要があります。
一方、クリニック側としては、未成年の整形は親が主導しているケースがまれにあるため、その際は医師とお子さんの2人きりになる時間を作り、本人の意思を改めて確認することが重要になってきます」
費用面でのトラブルも少なくない。クリニック選びは慎重になるべきだと鈴木さんが続ける。
「広告に書いていた値段よりも実際の費用が数倍に跳ね上がるクリニックや“今日決めたら安くなる”と当日契約させようとしたり、ほかのクリニックで話を聞こうとするのを阻止したりしようとする場合は、あまりよいクリニックとは言えません。不安な点や気になる点はとことん聞いて、納得した上で施術を受けることをすすめます」
整形は、人生を好転させる可能性を秘めている。同時にリスクもはらんでいる。
手軽さが進む一方で、親世代はその両面を理解し、整形への希望を持つ子や孫と向き合っていかなければならない。
取材・構成/河合桃子(ジャーナリスト)
※女性セブン2023年5月25日号