飲み会がストレスになるのは避けたい
それぞれ、どこがどう失礼なのかを簡単に説明しましょう。(その1)のように店員に偉そうにするのは、極めて恥ずかしい行為。部下や後輩と一緒だとしたら、即座に「残念な人」のレッテルを貼られます。(その2)は、連れて来てくれた相手に失礼。こういう無神経なことをしていたら、やがて友達をなくすでしょう。(その3)夜に居酒屋に来たら、お酒を飲みたくない場合でもウーロン茶のひとつぐらいはオーダーするのが、店への礼儀です。喫茶店やカフェの飲み物も同じ。
(その4)や(その5)は、店の人はニコニコと相手してくれているかもしれませんが、客という立場に甘えている痛々しい行為です。上司や同僚と行って(その6)のようなことをやったら、「仕事ができないヤツ」と判断されても文句は言えません。(その7)は、当人は得意気な気持ちになっているかもしれませんが、同行者としてはウンザリです。
(その8)も、同行者は迷惑なだけ。せっかくのお酒や食事が台無しになるので、多少のことはスルーするか笑ってしまうのが大人な態度です。(その9)のように、他人の行動を気安く「マナー違反」と決めつけることこそが重大なマナー違反。マナーの正解は時と場合によって違うし、定番のお作法だけが「正しい」わけではありません。(その10)も器が小さいというか何というか、大人げなさ丸出しな反応です。
「身に覚えがあるかも」という項目が半分以上ある人は、周囲の人に「この人と一緒に飲食店に行きたくないなあ」と、ひそかに思われている可能性が大。ここであげた「10の失礼」が、これから先の心がけと行動を変えるきっかけになれば幸いです。
自分が楽しく自由な気持ちを保つため
ひとつふたつ「なるほど、やっちゃってたけどこれから気をつけよう」と思った項目がある分には、とくに問題はないでしょう。人間なんてそんなもんです。「なぜこれがダメなのか理解できない」「俺は誰になんと言われようとこうする」という項目が半分以上ある方は、「失礼」という概念を越えた独自の価値観をお持ちなのかも。今後も自分自身しか目に入っていない世界で強気に生きていってください。
飲食店で「お店にも同行者にも失礼のないようにしよう」と思うのは、お酒や食事を心置きなく楽しむためです。けっして自分を窮屈にすることではありません。そのほかの失礼も同じ。他人を傷つけたり不愉快な思いをさせたりしないために気を配るのは、ほかならぬ自分が楽しく自由な気持ちを保つためです。
失礼を制する者はコミュニケーションを制する。何を隠そう、つい先日、世の中のあらゆる分野における「失礼」を考察した本が出ました。タイトルは『失礼な一言』(新潮新書)。著者はお恥ずかしながらというか、失礼ながらというか私(石原壮一郎)です。無意識の失礼を防ぐために、より円滑で深い人間関係を築くために、大いにご活用ください。