「雑音抑制機能」で価格差が
1年ほど前、両耳の難聴によって仕事に支障が出ていたタレントの梅沢富美男氏(72)を救ったのも補聴器だった。
「医師に勧められて作った耳あな型と耳かけ型の2つを使い分けています。難聴によって聴覚以外の感覚も衰え、舞台でもまっすぐ立てずに一時は引退も覚悟しましたが、補聴器をつけたらふらつくこともなくなった。周囲の声がハッキリ聞こえて仕事が楽しくなった。聞こえるって、本当に嬉しいものです」
梅沢氏が使うタイプは両耳で100万円以上する高価格製品だが、種類や価格帯は様々だ。言語聴覚士で認定補聴器技能者の千葉星雄氏が言う。
「現在は耳かけ型と耳あな型という小型の補聴器2タイプが主流です。世界シェア9割以上を占める『6大メーカー』があり、補聴器専門店の多くがそれらを扱っています。管理医療機器である補聴器は、対面販売が基本。資格を持つスペシャリストのいる店を選ぶといい」
千葉氏への取材をもとに、主な補聴器について価格帯別にメジャーな製品を一覧表(上掲)にまとめた。両耳で20万円前後から100万円超のものまで、製品は幅広い。
「現在の補聴器はフルデジタル化されています。基本的には高額なほど高機能で、特に雑音抑制機能の精度は価格に応じて異なります。選ぶ際には、耳の状態に加えて、生活事情を重視して選ぶとよいでしょう」(同前)
電池交換など細かい作業が難しい場合や紛失予防にあえて大きめの製品を選ぶほうが使い勝手がいい場合もあるという。
「自宅など静かな環境だけで使うなら、低価格帯(両耳で40万円以下)で十分な場合も。会議やレストランでの使用を想定するなら、雑音抑制機能や(音を拾う方向を絞り込む)指向性機能が強化されている中価格帯(両耳で60万円以下)が選択肢になります。音楽をより良い音質に自動調整する機能などが搭載された高価格帯(両耳で100万円以下)もある」(同前)