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『皇室献上品』“限度額”のルールが存在、内廷の方々は総額で年間600万円 背景にGHQの思惑が見え隠れ

令和への御代がわりでは全国各地から献上品が贈られた(上)。特別展(’19年)で平成の時代に贈られた献上品をご覧になる上皇ご夫妻(撮影/JMPA)

令和への御代がわりでは全国各地から献上品が贈られた(上)。特別展(’19年)で平成の時代に贈られた献上品をご覧になる上皇ご夫妻(撮影/JMPA)

 新鮮でおいしそうな果物や野菜、高級そうな肉やスイーツに「皇室献上品」とついていたら、品物の格がさらに上がる気がする──そんな生産者や消費者の気持ちを利用した詐欺事件が勃発した。事件でターゲットになったのは、みずみずしい夏の果物、桃。

「宮内庁職員を騙り、福島市内の桃農家から“皇室献上品”として桃をだまし取ろうとした詐欺未遂の容疑で、7月下旬に70代の男が逮捕されました」(全国紙記者)

“正式な皇室献上品”は、各都道府県の知事から『献上したい』という願い出を宮内庁が受け取って、可否を判断する仕組み。献上品は、米や野菜、果物といった農作物、精肉や魚、お茶や酒、みそやしょうゆ、のりやかつおぶし、和洋のスイーツといった食品のほか、陶磁器や鉄器、絵画や人形など、工芸品、美術品など多岐にわたる。

 ユニークなところでは、和紙職人が仕立てたトイレットペーパーがあり、なんと価格は8ロールで1万1000円。ただし、これらの献上品には、ある“制限”がある。元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんが解説する。

「献上品には国会の議決を経なくてもいい限度額が皇室経済法施行法で定められています。内廷の方々(天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、愛子内親王殿下の5方)は総額で年間600万円、それ以外の宮家の方々は個人単位でおひとり160万円、未成年の場合は35万円となっています。

 例えば秋篠宮家の場合は、成年皇族が3方、未成年皇族が1方ですから宮家全体で年間515万円が限度額となります。即位の礼など大きな行事の際には国会、内閣、裁判所などからも献上されますが、額が大きくなるため、国会の議決を経ています。皇室からの賜与にも同様に限度額が定められています」(山下さん・以下同)

高級土佐和紙を使用したトイレットペーパーなども

高級土佐和紙を使用したトイレットペーパーなども

 こうした上限が設けられたのは戦後のこと。歴史をひもとくと、そこにはGHQの思惑が見え隠れする。

「戦後、GHQによる皇室の弱体化が図られました。11宮家51方の皇籍離脱もそうですが、皇室に財産が集中しないように、また皇室が自由に財産を支出しないようにするために設けられたのがこの規定です。金額の規定があるため、失礼な話ですが、宮内庁は献上品の価格を献上者に確認しなければなりません」

 ただし、財産として長く保管できないという性質から、食品には限度額のルールは課せられない。また、大きな行事の場合は、国会の議決を経て、限度額の外で管理される。平成から令和への御代がわりの際に、即位の礼に合わせ、南部鉄器の鉄瓶や会津漆器の飾箱、桐生織の錦絵や千葉の大漁旗、清水焼の香炉や備前焼の壺、博多人形や琉球ガラスの花器など、地域色豊かで絢爛な品々が献上されたのはそのためだ。

※女性セブン2023年8月31日号

献上品

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米沢牛を米沢の地味噌に漬け込んだ「登起波漬」

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