ライフ

壮年が患う「僧帽弁閉鎖不全症」手術支援ロボットで早期復帰へ

放置すると息切れが激しくなって歩けなくなる「僧帽弁閉鎖不全症」(イラスト/いかわやすとし)

放置すると息切れが激しくなって歩けなくなる「僧帽弁閉鎖不全症」(イラスト/いかわやすとし)

【週刊ポスト連載・医心伝身】僧帽弁は左心房と左心室の間にあり、大動脈へ血液を送る際に閉じ、血液の逆流を防ぐ。僧帽弁閉鎖不全症は40~50代で好発するが、自覚症状はあまりなく、心エコー検査で逆流が見つかり、発見されるケースが多い。放置すると息切れが激しくなって歩けなくなる。現在は手術支援ロボットのダビンチを使い、小さい創から僧帽弁を修復する形成術が保険適用になっている。

 4つある心臓弁のうち、左心房と左心室の間にあるのが僧帽弁だ。肺からの酸素を含んだ動脈血を大動脈へ送る際、前尖と後尖の2枚の僧帽弁が閉じることで血液の逆流を防ぐ。この2枚の弁がしっかり閉じていないと大動脈へ送り出される血液の一部が左心房側に逆流し、その結果、左心房に圧がかかる。これにより、左心房が拡大して次第に血液を送り出すポンプの役割を果たせなくなってしまう。

 榊原記念病院心臓血管外科主任部長で、帝京大学医学部附属病院心臓血管外科の下川智樹主任教授に聞いた。

「初期の僧帽弁閉鎖不全症は血液の逆流があっても自覚症状があまりなく、健診で発見されるまでマラソンを日課にしていた患者さんもいました。心臓弁膜症の多くは加齢が原因で、比較的高齢患者が多い。しかし、僧帽弁閉鎖不全症に関しては40代から50代の働き盛りの世代で発症するのが特徴です」

 働き盛りに多い原因はわかっていない。ただ僧帽弁の先端には左心室に繋がる腱索というヒモのようなものが付いていて、若年ではこれが伸びると弁が閉じなくなり、血液の逆流が起きてしまう。

 僧帽弁閉鎖不全症において逆流が重症だと手術になる。従来は胸の中央を約25センチ切開し、胸骨を切り開く胸骨正中切開が一般的だったが、より傷口の小さい内視鏡を使用した低侵襲手術のMICS(小切開低侵襲心臓手術)も行なわれるようになっている。

 ただし、MICSの傷口は小さいものの、曲がらない鉗子を使う手術のため、細かい動作がやりにくく、高い技術が求められていた。その後、手術支援ロボットのダビンチが登場し、2018年に僧帽弁閉鎖不全症に対するロボット手術が保険収載されている。

 ダビンチにはカメラと3本のアームが備えられ、それらを体内に挿入、次にカメラを見ながらアームに接続された鉗子を使って治療する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

モデル・Nikiと山本由伸投手(Instagram/共同通信社)
「港区女子がいつの間にか…」Nikiが親密だった“別のタレント” ドジャース・山本由伸の隣に立つ「テラハ美女」の華麗なる元カレ遍歴
NEWSポストセブン
米大リーグ、ワールドシリーズ2連覇を達成したドジャースの優勝パレードに参加した大谷翔平と真美子さん(共同通信社)
《真美子さんが“旧型スマホ2台持ち”で参加》大谷翔平が見せた妻との“パレード密着スマイル”、「家族とのささやかな幸せ」を支える“確固たる庶民感覚”
NEWSポストセブン
高校時代の安福容疑者と、かつて警察が公開した似顔絵
《事件後の安福久美子容疑者の素顔…隣人が証言》「ちょっと不思議な家族だった」「『娘さん綺麗ですね』と羨ましそうに…」犯行を隠し続けた“普通の生活”にあった不可解な点
デート動画が話題になったドジャース・山本由伸とモデルの丹波仁希(TikTokより)
《熱愛説のモデル・Nikiは「日本に全然帰ってこない…」》山本由伸が購入していた“31億円の広すぎる豪邸”、「私はニッキー!」インスタでは「海外での水着姿」を度々披露
NEWSポストセブン
優勝パレードには真美子さんも参加(時事通信フォト/共同通信社)
《頬を寄せ合い密着ツーショット》大谷翔平と真美子さんの“公開イチャイチャ”に「癒やされるわ~」ときめくファン、スキンシップで「意味がわからない」と驚かせた過去も
NEWSポストセブン
生きた状態の男性にガソリンをかけて火をつけ殺害したアンソニー・ボイド(写真/支援者提供)
《生きている男性に火をつけ殺害》“人道的な”窒素吸入マスクで死刑執行も「激しく喘ぐような呼吸が15分続き…」、アメリカでは「現代のリンチ」と批判の声【米アラバマ州】
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の学生時代
《被害者夫と容疑者の同級生を取材》「色恋なんてする雰囲気じゃ…」“名古屋・26年前の主婦殺人事件”の既婚者子持ち・安福久美子容疑者の不可解な動機とは
NEWSポストセブン
ソウル五輪・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング=AS)銅メダリストの小谷実可子
《顔出し解禁の愛娘は人気ドラマ出演女優》59歳の小谷実可子が見せた白水着の筋肉美、「生涯現役」の元メダリストが描く親子の夢
NEWSポストセブン
ドラマ『金田一少年の事件簿』などで活躍した古尾谷雅人さん(享年45)
「なんでアイドルと共演しなきゃいけないんだ」『金田一少年の事件簿』で存在感の俳優・古尾谷雅人さん、役者の長男が明かした亡き父の素顔「酔うと荒れるように…」
NEWSポストセブン
マイキー・マディソン(26)(時事通信フォト)
「スタイリストはクビにならないの?」米女優マイキー・マディソン(26)の“ほぼ裸ドレス”が物議…背景に“ボディ・ポジティブ”な考え方
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
《かつてのクマとはまったく違う…》「アーバン熊」は肉食に進化した“新世代の熊”、「狩りが苦手で主食は木の実や樹木」な熊を変えた「熊撃ち禁止令」とは
NEWSポストセブン
アルジェリア人のダビア・ベンキレッド被告(TikTokより)
「少女の顔を無理やり股に引き寄せて…」「遺体は旅行用トランクで運び出した」12歳少女を殺害したアルジェリア人女性(27)が終身刑、3年間の事件に涙の決着【仏・女性犯罪者で初の判決】
NEWSポストセブン